バッズクリーク・モトクロスパークは、アメリカ東部に多い名門コースの一つである。AMAプロモトクロスの開催はもちろん、これまでに世界選手権アメリカGP('93、'94、'99年)や、モトクロス・オブ・ネイションズ('07年)が当地で行われてきた。首都ワシントンDCに近いことも、バッズクリークが高い地位を保つ要因となっている。
谷の斜面を利用したコースレイアウトには、アップダウンやオフキャンバーが多く、ビッグジャンプも勝敗を分けるポイントの一つ。土質は元来ハードだが全周にわたって耕されるので、時が経つと走行ラインとそれ以外の部分に差が出てくる。硬くて深いワダチとブレーキング地点にできるギャップなど、攻略テクニックが要求される難コースと言えるだろう。
以前は開催日程が6月の父の日に固定されていたが、2016年から8月にスケジュールが変更されたため、バッズクリークと言えば高温多湿の…という傾向がさらに強まった。公式予選は比較的涼しい午前8時から始まったが、全セッションを終えてポールポジションを獲得したのは、450=ケン・ロクスン(ホンダ)=2:00.432、250=チェイス・セクストン(ホンダ)=2:02.280。ワダチの選択が鍵となりそうな状況だった。
450クラスのヒート1は、ジャスティン・ボーグル(KTM)のホールショットで始まった。オープニングラップの後半でイーライ・トマック(カワサキ)、ロクスンに先行されると、ボーグルは徐々に離されていく。5周目にはマービン・ムスキャン(KTM)が3位、6周目にはザック・オズボーン(ハスクバーナ)が4位に浮上した。中盤までにロクスンを振り切ったトマックは、13秒以上のアドバンテージを持ってフィニッシュ。2位ロクスン、3位ムスキャンのオーダーに変動はなかった。
450クラスのヒート2では、オズボーンがホールショットを取ったが、トマックが1周目からトップに躍り出た。2位に上がったロクスンに対するリードは、少しずつだが確実に広がり9秒差となる。9周目にはジェイソン・アンダーソン(ハスクバーナ)が2位、13周目にはムスキャンが3位に浮上し、上位のオーダーが定まった。
後半になってさらにリードを広げたトマックは、余裕でフィニッシュ。両ヒートを制したトマックのポイントリードが50点となり、最終戦を待たずにタイトルが確定。トマックの3連覇、そしてダンロップの10連覇は、名門バッズクリークで達成された。富田俊樹(ホンダ)は18位/15位に入り、貴重なシリーズポイントを加算している。