ー 今シーズンはポール・ポジションをとって好調ですね。理由についてどのようにお考えですか?
「今年からトライアンフのエンジンにかわって、エンジン特性が僕の走りに合っていると思います。それと鈴鹿8耐の経験も良かったと思います。8耐では、大きいバイクに過酷な状況下で長く乗るので、大きいバイクの走らせ方が体に馴染んで、その走らせ方がトライアンフのエンジンに合っているようです。どんどん自分に自信がついてきて、走りが安定して出来るようになりました。」
ー 今年の鈴鹿8耐のあと、調子が上がりましたね。
「8耐あけでチェコに行って、最初は乗り換えが大変かなと思っていたのです。最初の走行ではビリでも良いやくらいの気持ちでした。力抜いて8耐みたいに楽な感じで走ったら、トップ・タイムが出て。この走りでいいんだということが分かりました。 それまで、どうしても頑張ろう頑張ろうと力が入っていたけど、力を抜いて走るということが分かりました。」
ー 次戦のオーストリアGPでは初のポール・ポジションを獲得されましたね。
「ポールをとれたことは自分でもビックリでした。まさかポールをとれるとは思わなかったです。とても自信になりました。あれからヨーロッパでも注目度が上がりました」
-決勝では不運もあって、なかなか結果に繋がっていないわけですが・・・
「チーム力の差だったり、色々原因があると思います。例えば、アレックス・マルケス選手はマネージャーがいて、アドバイザーがいて、お世話係がいて、チャンピオン・チームでと、すべてが揃っています。 僕の場合は、今年からはマネージャーいますが、それまでは全部一人でやってきました。だから、全体の力の差もある。その中で戦わないとならないので、どうしても地力の差が決勝でてしまうところがある。 今は、自分も少しずつレベルが上がってきて、これも必要なんだ、あれも必要なんだということが分かってきました。難しい部分もありますが、徐々に学習してアジャストしています。」
-高いレベルに上がって、足りないところが分かってきたわけですね。
「色々な要素が噛み合わないとダメなのです。世界選手権なので、たぶん一発のタイムは誰でも出せるのです。レース距離を上手くまとめるのは凄く大変で、それが世界選手権だと思います。すべてが噛みあっていないと世界一はとれないです。」
-少しずつ表彰台は見えてきましたね。
「マルケス選手も絶対に届かないところに居るわけじゃない。僕のフリー・プラクティスでのレース・シミュレーションのペースは悪くない。それを決勝でできれば、間違いなく表彰台争いが出来ると思います。」
-長島選手は自分の強みはどこだと思いますか?
「外国人ライダーと比べると、バイクのことをしっかり感じ取れる、それをフィード・バックとしてメカニックに伝えられると思います。バイクを作りやすいというのが他の人よりあると思う。それが強みでもあるし、弱みでもある。 すごくバイクのフィーリングを感じてしまうので、ネガな部分を感じてしまうと攻めきれなくなってしまう。イケイケでは走れない。自分は一瞬引いてしまうところがある。そこは改善したい部分なんです。そこが改善できたら、さらに強みになると思います。」
-毎年少しずつ結果が上がってきていますね。
「常に学習できるところも、着実にやっているところが自分の強みです。 2014年のポイント圏外に終わったときからGPがスタートして、2016年に初めてポイントを取って、それからシングル入るようになって、だんだん安定するようになってきた。少しずつ段階を踏んで、今、やっとトップ集団で走れるようになってきている。これが続くことで、常にトップ集団で走れるようになると思います。今はそうなるための経験の期間だなと思っています。」
-ダンロップとの関係はどうですか?
「タイヤの情報をいただいたり、サポートしていただいています。ダンロップさんのワンメイクなので、タイヤをうまく使うことで差がでます。僕は少しずつ学習しています。今後は、事前のタイヤ・テストにも参加できたらいいと思います。」
-チーム・メイトのR・ガードナー選手とは、セッティングの情報交換などをしていますか?
「コミュニケーションはいいです。チーム・メイトとセッティング情報は交換しています。ただベースは違うのであまり参考にならないかもしれないですね。」
-言葉は問題ないですか?
「最初2014年に来たときは、英語はひと言も喋れなかったのですが、今は大丈夫です。チームの人たちが話しているのを聞いて覚えていきました。」
-長くヨーロッパで戦っていますね。
「2014年からヨーロッパでレース参戦していますが、最初の3年は行ったり来たりしていました。去年からバルセロナのアパートに住んでいます。」
-ところでトレーニングは、どんなことをやっているのですか?
「ジムとか、ランニング、あとはダートトラック、ミニバイクなどに乗っています。無駄な筋肉がつくとよくないので、つけないようにしています。腕あがり、ケガにつながることがあるのです。」
-子どものときに憧れていたライダーはいますか?
「子どものときはロッシ選手に憧れていました。11歳、12歳のころ、ロッシ選手がヤマハに移籍するころだった。その後、原田(哲也)さん、青山(博一)さんとかチャンピオンとった人のレースを見て、尊敬するようになったし、目標になりました。」
-日本GPの前に、地元の横須賀市長(神奈川県)に表敬訪問されましたね。
「横須賀市は、人口流出が激しいという問題があって、市長はスポーツと音楽の街をテーマに掲げています。モータースポーツを盛り上げたいという思いがあるので、市とモータースポーツのコラボということと、将来的には横須賀にサーキットを作りたいという話をさせていただきました。地元にサーキットを作るという夢があるんです。また、交通安全教室についてもご提案させていただきました。」
-今年の目標は?
「自分の中では2021年にMotoGPというのが目標です。年齢的にも最後のチャンスだと思っています。今年中に表彰台に上がって、来年の前半でタイトル争いできたら、声はかかると思います。」
ーMotoGPに参戦できることを期待しています。今日はお忙しいところ有難うございました。