第8戦　関東大会

年間9戦で競われる全日本モトクロス選手権は、いよいよシリーズ終盤に突入。第8戦関東大会が、第2戦の舞台にもなった埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。河川敷に設けられたコースは、基本的なレイアウトを春の大会から踏襲。ジャンプとタイトターンが多めに配された設定となっている。大会前日から土曜日午前にかけて降り続いた雨の影響で、予選日の練習走行時はマディ。しかし、土曜日午後から翌決勝日は天候に恵まれ、コースコンディションは一気に回復していった。最高峰のIA1では、ホンダファクトリーチームの山本鯨選手（#400）がランキングトップを守り、カワサキトップチームの小方誠選手（#10）が11点差で追う、ダンロップ勢によるし烈なタイトル争いに注目が集まった。

IA1決勝ヒート1では、小方選手が好スタート。長門健一選手（#19）を抜いて早々にトップへ浮上すると、レースが中盤を迎えるころから徐々にリードを拡大していった。山本選手はやや出遅れ、オープニングラップは4番手。パッシングポイントが極端に少ないコースで、前走者に阻まれながらもプッシュを続け、2周目に3番手へ浮上すると、5周目には2番手を走るライダーの背後に迫った。しかし翌周、タイトターンでスピードが落ちたライバルに引っかかり、山本選手はバランスを崩してタイムロス。9周目に、ようやく2番手の座を手に入れた。しかしこの段階で、トップの小方選手は約11秒のリード。小方選手と山本選手の差はレース終盤までさほど大きな変化がなく、小方選手が独走で今季7勝目を挙げた。

決勝ヒート2では、これまでスタートが課題になることが多かった小方選手が再び好スタートを決めて、1周目を2番手でクリア。一方、前戦までスタートのよさに定評があった山本選手は、ヒート1に続いてやや出遅れた。2周目、小方選手はトップ、山本選手は田中雅己選手（#113）ら2台を抜いて3番手に浮上。翌周、山本選手はさらに1台をパスして、トップを走る小方選手に迫った。そして4周目、山本選手が早めに仕掛けて逆転に成功。すると翌周、山本選手はこのレースにおけるファステストラップタイムを叩き出し、逃げ切りを図った。小方選手も6周目にほぼ互角のタイムで対抗したが、レース中盤になると山本選手がコンマ数秒ずつリードを拡大。そのまま今季7勝目を挙げた。小方選手は2位、田中選手は6位となった。

PhotoGallery

---

---

---

IA2クラスのシリーズタイトル争いは、いずれもダンロップタイヤを履くポイントリーダーの古賀太基選手（#922）とランキング2番手の渡辺祐介選手（#31）が、前戦終了時点でわずか3点差の接戦となっている。迎えた今大会の決勝ヒート1では、古賀選手がホールショット。一方の渡辺選手は出遅れ、1周目を11番手でクリアした。序盤、トップを走る古賀選手に小川孝平選手（#912）が迫り、6周目からはすぐ背後でマーク。9周目に、小川選手が古賀選手をパスした。レース後半、古賀選手はややペースを落とし、背後には岡野選手に加えて渡辺選手が接近。終盤には三つ巴のバトルになった。そして、まず岡野選手が古賀選手を抜き、その直後に古賀選手と渡辺選手がジャンプで接触。これで古賀選手が転倒した。レースは、小川選手が独走で今季4勝目。岡野選手が2位、渡辺選手が3位、古賀選手が4位となった。

決勝ヒート2では、渡辺選手が好スタート。オープニングラップでトップに浮上した。これに続いたのは、IAルーキーの大倉由揮選手（#01）。序盤の2周ほどは、渡辺選手に喰らいついた。しかし3周目以降に渡辺選手がペースを上げると、大倉選手は遅れはじめ、翌周から岡野選手や古賀選手、小川選手などの4台が大倉選手に迫った。レースが中盤に入った7周目、2番手を争うこの集団の中で古賀選手が岡野選手と大倉選手を抜いて先頭に。しかしこの段階で、トップの渡辺選手は約12秒も先行していた。それでも古賀選手は、諦めることなく渡辺選手を追ったが、両者の差が大きく縮まることなくレースは20周でチェッカー。渡辺選手が優勝、古賀選手が2位となり、ポイントランキングでも渡辺選手が2点リードのトップになった。小川選手は、レース中盤に岡野選手を抜いて3位。岡野選手が4位でゴールした。

PhotoGallery

---

ランキングトップの竹内優菜選手（#2）が、ホールショットを奪って1周目からトップを走行。竹内選手と6点差のランキング2番手で今大会を迎えた久保まな選手（#5）は、スタート直後のマルチクラッシュに巻き込まれ、ほぼ最後尾からのレースとなった。竹内選手に次ぐ2番手で1周目をクリアしたのは、朝の練習走行で激しく転倒して負傷しながらも、会心のスタートを決めた安原さや選手（#4）。2周目、この安原選手を本田七海選手（#6）が抜いた。

レース中盤、竹内選手は本田選手との差を少しずつ拡大。レースが終盤に入るころまでに、7秒近いアドバンテージを奪った。ラスト3周となった8周目、竹内選手はエンストのミスを喫し、これで一度は本田選手が近づいたが、最後は竹内選手が再び振り切って今季2勝目。本田選手が、自己ベストリザルトに並ぶ2位となった。安原選手は4位。久保選手は懸命な追い上げを続けて8位でゴールし、最終戦を前に竹内選手のポイントリードは18点に拡大した。

---

---

---