今季は全4戦のスケジュールとなる全日本モトクロス選手権。9月中旬に設定されていた第2戦近畿大会は中止扱いとなり、この第3戦が今シーズンの2戦目となった。戦いの舞台は、開幕戦と同じ宮城県のスポーツランドSUGO。コースの基本レイアウトは前戦を踏襲するものの、各セクションに手直しが加えられた。また、事前そして当日の入念な整備によって路面には十分な水分が含まれ、ホコリがほとんど発生しない良好なコンディションが保たれた。ただしこれにより、粘土質の路面には深くて固いワダチやギャップが刻まれることになり、ライダーにとってはこの攻略が大きなカギとなった。天候は、土曜日が曇りで日曜日が曇りのち晴れ。決勝日の最高気温は23度だった。最高峰クラスのIA1は、今大会および次戦に1大会3ヒート制を導入。日曜日に15分+1周のレースを3回実施した。
決勝ヒート1では、ヤマハファクトリーチームの富田俊樹選手(#317)がホールショット。オープニングラップをトップでクリアした。ホンダに乗る能塚智寛選手(#555)は3番手、ヤマハファクトリーチームの渡辺祐介選手(#110)は5番手からのレース。2周目には富田選手が1台の先行を許して2番手となり、能塚選手と渡辺選手がこれに続いた。3周目からは、能塚選手と渡辺選手が3番手争い。4周目にこれを制した渡辺選手は、2番手の富田選手に肉迫した。両者のバトルはレース終盤まで続いたが、ここは富田選手がポジションをキープ。9周でチェッカーとなったレースで、富田選手が2位、渡辺選手が3位に入賞して表彰台に立った。能塚選手は、レース中盤にヤマハ勢から離されたが、4位でフィニッシュした。
決勝ヒート2では、渡辺選手が好スタート。オープニングラップをトップでクリアした。序盤、上位勢は縦に長めの隊列となり、富田選手は3番手、能塚選手は5番手、KTMを駆る池谷優太選手(#793)は6番手を走行。しかし、3~4周目に2台がトップ争いを繰り広げる間に富田選手が距離を詰め、渡辺選手が2番手に後退した4周目からは、3台のトップ集団となった。6周目、渡辺選手が再びトップに浮上。再逆転を狙ったライバル選手は単独転倒により後退し、これで渡辺選手と富田選手のマッチレースとなった。すると7周目、渡辺選手が一気にペースアップ。これで富田選手は引き離され、渡辺選手が逃げ切って全日本最高峰クラス初優勝を挙げた。富田選手は2位、能塚選手は単独走行の5位となった。
決勝ヒート3のスタートではダンロップ勢がやや出遅れたが、それでも渡辺選手は混戦の中で巧みに順位を上げて1周目3番手。能塚選手が同5番手となった。富田選手は、1周目10番手からの追い上げを強いられた。レースは、序盤に渡辺選手を含む4台のトップ集団が形成され、やや離されて能塚選手と追い上げてきた富田選手が追う展開。中盤には能塚選手と富田選手がトップグループとの距離を詰めて6台の隊列となり、そこから2台ずつの接近戦に発展した。その中で渡辺選手はトップのライダーに僅差で迫ったが、ラスト3周となった7周目に転倒。集団から遅れた6番手まで後退した。これにより4番手に浮上した能塚選手は、最終ラップに前走者をパス。能塚選手が3位、富田選手が5位、渡辺選手が6位でチェッカーを受けた。