2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、全7戦のスケジュール。その第3戦は、埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。全日本格式となる4クラスのうちIA1クラスとIA2クラスとレディースクラスは、いずれも日曜日に予選と決勝をすべて実施する変則的なスケジュール。予選は全クラスともタイムアタック方式で、決勝はIA1クラスとIA2クラスが15分+1周の3ヒート制、レディースクラスは通常どおり15分+1周の1レースで競われた。
河川敷のフラットな土地に設けられたオフロードヴィレッジのコースは、昨秋の全日本開催前にフルリニューアルされており、今大会はその基本レイアウトを受け継ぎながらセッティング。ジャンプやリズムセクションが多く、コーナーはタイトターンを中心とした、スーパークロスをアウトドア化したような短めのコースだ。土曜日は朝から夕方まで降雨となり、コースはマディコンディションに。日曜日は曇りで気温も26℃まで上昇したが、路面状況の回復は緩やかで、徐々にドライ化して硬くなっていった。
IA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施。そのヒート1では、ヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#1)が、1周目に順位を上げて先頭に立った。ホンダに乗る地元ライダーの小方誠選手(#9)が3番手で、これをホンダサポートの横山遥希選手(#2)が猛追。しかし横山は選手はパッシングのチャンスを得られずにいると、3周目に転倒して8番手まで順位を下げた。トップのウィルソン選手は、徐々にリードを拡大。独走態勢を築いていった。
レース中盤、2番手に離されながらも依然として3番手を守る小方選手の背後に1台のライバルが迫るも、小方選手がポジションを死守。その5秒ほど後方では、ヤマハセカンドチームの渡辺祐介選手(#15)が、ヤマハに乗る浅井亮太選手(#38)と横山選手を引き連れながら周回を重ねた。9周目、小方選手はついに4番手後退。同じ周に横山選手は浅井選手を抜いたが、翌周にバックマーカーと絡んで転倒した。レースは12周で終了となり、ウィルソン選手が優勝。小方選手が4位、逃げ切った渡辺選手が5位、浅井選手が6位となり、横山選手は11位となった。
決勝ヒート2では、スタート直後に4番手を走っていたウィルソン選手が転倒して、20番手付近まで後退。さらにウィルソン選手は、追い上げていた2周目にも転倒を喫し、21番手まで後退する厳しい展開となった。レースは、ヒート1はスタートの出遅れが響いて8位に終わったカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#5)がホールショットを奪い、これを横山選手がパスして1周目にトップ浮上。横山選手、能塚選手、ヒート1は1周目に転倒して9位だったホンダサポートの大倉由揮選手(#4)が、序盤にトップグループを形成した。
3周目、4番手には渡辺選手が順位を上げ、レースが中盤に入ると後続の1台を含む5台が縦に長いトップグループに。この中で大倉選手が、3番手の能塚選手を引き離しながらトップの横山選手に近づき、10周目の段階では横山選手と大倉選手が優勝争いを繰り広げ、8秒ほど遅れて能塚選手が3番手をキープし、その背後に1台が肉迫する状況だった。ラスト2周、大倉選手は逆転を狙い続けたが、最後は横山選手がスパート。これで逃げ切った横山選手が今季初優勝を収め、大倉選手が2位となった。こちらも最後まで接戦となった3位争いは能塚選手が制し、今季初表彰台に登壇。ウィルソン選手は5位まで追い上げてチェッカーを受けた。
決勝ヒート3では、渡辺選手がホールショット。これに続いた横山選手がすぐにトップを奪うと、能塚選手と浅井選手と大倉選手がこれに続いた。さらに、浅井選手が能塚選手を抜いて1周目に2番手浮上。オープニングラップは横山選手、浅井選手、能塚選手、大倉選手、渡辺選手、ウィルソン選手のオーダーとなった。2周目、ウィルソン選手に抜かれて6番手に後退した渡辺選手がやや遅れ、これでトップグループは5台に。翌周、トップの横山選手は4秒ほどのリードを奪い、ウィルソン選手は3番手まで順位を上げ、浅井選手に迫った。
4周目、ウィルソン選手が2番手にポジションアップ。3番手に後退した浅井選手の背後には、順位を入れ替えた大倉選手と能塚選手が迫り、ウィルソン選手はトップの横山選手に近づいていった。5周目以降、3番手以下を大きく離しながら、横山選手とウィルソン選手がトップ争いを展開。横山選手が順位を死守し続けたが、10周目にウィルソン選手がトップに立った。再逆転を狙った横山選手は、11周目に入ったところで転倒。これで逃げ切ったウィルソン選手が、12周のレースで勝利を収めた。転倒後に復帰した横山選手は2位。5周目に浅井選手を抜いた大倉選手が、レース終盤に能塚選手を引き離して3位。能塚選手が後続を僅差で抑えて4位となった。