2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、全7戦のスケジュール。その第4戦中国大会は、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で繰り広げられた。昨年の同大会はシーズン開幕前に中止が決定され、この会場での全日本開催は2年ぶり。広島県南東部の山中に位置するコースは、2年前の基本的なレイアウトを踏襲しつつ、細部の仕様変更が施されていた。路面はハードで、自然の起伏を活かしたアップ&ダウンが豊富なハイスピードコースとなっている。
ただし今大会は、各クラスの予選などが実施された土曜日の朝から雨が降りはじめ、これにより土曜日はマディコンディションでの走行となった。雨は日曜日の朝まで断続的に降ったが、上がると同時に青空が見え隠れするほど天候が回復。陽射しに恵まれ、気温も30℃近くまで上昇したため、今度は一気にドライコンディションへと向かっていった。深いワダチや露出した岩盤など、攻略を難しくする要素が多く、タフなレースが展開されていった。
最高峰となるIA1クラスの決勝は、30分+1周の2ヒート制。そのヒート1では、ホンダに乗る大倉由揮選手(#4)がホールショットを決めた。一方、同じくホンダサポートの横山遥希選手(#2)は、スタート直後の5番手走行中に転倒し、背後にいたヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#1)ら10台近いマシンが、追突するなどして大きく遅れた。1周目をトップでクリアしたのは大倉選手。これにカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#5)が続いた。
序盤、大倉選手は3~4秒のリードを保ちながらトップを快走。3周目、ヤマハを駆る浅井亮太選手(#38)が3番手に浮上したが、2番手の能塚選手とはすでに約8秒の差となっていた。レースが中盤に入ると、大倉選手はじわじわとリードを拡大。そのまま17周目の最終ラップまで独走を続け、今季初優勝を挙げた。能塚選手は2位。ホンダを駆る小方誠選手(#9)とレース終盤に接近戦を繰り広げた浅井選手が、競り勝ってIA1初表彰台に立った。ウィルソン選手が8位、横山選手は9位だった。
決勝ヒート2では、ヤマハセカンドチームの大城魁之輔選手(#8)がホールショット。2番手に浮上した大倉選手が、3周目にかけて僅差で追った。ところが4周目、大城選手の飛び石が鼻にヒットして流血した大倉選手のスピードが鈍り、この間に大城選手が3秒ほどリード。それでも大倉選手は、翌周にはほぼペースを取り戻し、背後から能塚選手の追撃を受けつつ、3~4秒差でトップの大城選手を追い続けた。一方、ウィルソン選手は1周目6番手、横山選手は同9番手から追い上げを続けた。
レースが後半に入ると、大倉選手が少しペースダウン。9周目には能塚選手が再接近した。同じ周、ウィルソン選手を横山選手が抜いて4番手。12周目、能塚選手が大倉選手を抜いて2番手に浮上した。そして17周のレースは、独走を続けた大城選手がトップチェッカー。ヤマハ&ダンロップにスイッチしてから初となる勝利を挙げた。能塚選手は、2~3秒差で追いすがる大倉選手を振り切って再び2位。フィニッシュジャンプでは大倉選手と横山選手が並ぶも、0.017秒差で逃げ切った大倉選手が3位、横山選手が4位となった。