全7戦で競われる2025年の全日本モトクロス選手権シリーズは、シーズン終盤戦に突入。その第6戦は、「21Groupカップ 東福寺保雄記念」として埼玉県のウエストポイント オフロードヴィレッジで開催された。全日本格式となる4クラスのうちIA1クラスとIA2クラスとレディースクラスは、いずれも日曜日に予選と決勝をすべて実施。予選はタイムアタック方式、決勝は15分+1周の設定で、IA1クラスとIA2クラスは3ヒート、レディースクラスは1レースが実施された。
荒川と入間川に挟まれた河川敷のフラットな土地に設けられたオフロードヴィレッジは、昨秋の全日本開催前にフルリニューアルされ、これまで以上にジャンプやリズムセクションが多く、コーナーはタイトターンを中心とした、スーパークロスのレイアウトに。各部の仕様変更を受けた今回も、そのテイストは継承されている。日曜日は朝から曇りで、時々小雨が舞っていたが、午後は一時的に雨脚が強くなり、カタい路面が濡れたスリッピーなコンディションとなった。
最高峰となるIA1クラスでは、ホンダサポートの横山遥希選手(#2)とカワサキファクトリーチームの能塚智寛選手(#5)が、ケガにより今大会を欠場。決勝のヒート1では、ヤマハセカンドチームの大城魁之輔選手(#8)がホールショットを奪い、後方から追い上げてきたホンダサポートの大倉由揮選手(#4)が追った。ヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#1)は1周目9番手と出遅れたが、5周目には4番手まで浮上した。
大城選手と大倉選手は接近戦を続けていたが、7周目に大倉選手が転倒して4番手に後退。これにより、ヤマハのマシンを駆る浅井亮太選手(#38)を前の周にパスしていたウィルソン選手が2番手となり、5秒ほど先行していた大城選手を追った。ラスト2周となった12周目、ペースを上げたウィルソン選手が一気に大城選手の背後に迫って逆転。そのまま逃げ切ったウィルソン選手が優勝、大城選手が2位となった。11周目に浅井選手を抜いた大倉選手が3位に入賞した。
決勝ヒート2では、カワサキのマシンを駆る西條悠人選手(#37)が、スタート直後に先頭へ。これに続いた浅井選手は2周目に転倒して13番手まで後退し、ウィルソン選手が2番手となった。翌周、ウィルソン選手が西條選手をパスしてトップ浮上。4周目には両者のギャップが2秒ほどに拡大したが、5周目には再び西條選手が距離を詰めた。一方、西條選手から7~8秒遅れた3番手争いでは、5周目に大倉選手が先行。翌周には、大城選手が4番手に順位を上げた。
レース中盤、トップのウィルソン選手は再び少しリードを奪い、2番手の西條選手とは2~3秒差。大倉選手はトップ2からさらに少し遅れたが、後続の大城選手に対しては3秒ほどのリードを守った。その大城選手を、ヤマハセカンドチームの渡辺祐介選手(#15)が追ったが、こちらも勝負を挑める距離までは近づかなかった。そして13周となったレースは、終盤にリードを拡大したウィルソン選手が優勝、西條選手が最高峰クラス初表彰台となる2位、大倉選手が3位、大城選手が4位、渡辺選手が5位となった。
決勝ヒート3では、渡辺選手がホールショット争いを繰り広げ、オープニングラップを3番手でクリア。これにウィルソン選手と大城選手と大倉選手が続いた。レース序盤、ウィルソン選手が着実にポジションアップ。3周目には、大倉選手が渡辺選手を抜いた。4周目、ウィルソン選手がトップに。翌周には、大城選手も渡辺選手を攻略し、これで大倉選手が4番手、大城選手が5番手、渡辺選手が6番手というオーダーになった。
先頭に立ったウィルソン選手は、3秒ほどまでリードを拡大したが、バックマーカーの影響もあり後続の接近を許し、9周目には4番手の大倉選手までがほぼひとつの集団に。翌周、ウィルソン選手はバックマーカーに追突して転倒し、大城選手に次ぐ5番手に後退した。ラスト2周となった11周目、大倉選手は2番手に浮上すると、ラストラップにさらなるペースアップを果たしてトップに立ち、今季2勝目をマークした。11周目に大城選手を抜いたウィルソン選手は4位、大城選手は5位となった。