2026年の全日本モトクロス選手権は、昨年より2戦増加して全9戦のシリーズに。例年よりも1ヵ月ほど前倒しされて、ワンデースケジュールにより3月15日(日)に幕を開けた。この開幕戦の舞台は、全日本初開催となる三重県のいなべモータースポーツランド。中部大会として、はじつに30年ぶりの復活となる。全日本コースとしてはコンパクトな会場で、コースはパドックや観客席に対して谷地にレイアウト。路面は本来ならハードパックだが、掘り返しと散水による整備で大幅に改善され、朝の段階ではコーナーに深いワダチが刻まれるほどだった。天候は晴れ。ただし、鈴鹿山脈からの強風が吹き荒れた。とくに午後は酷く、ライダーと観客を悩ませたが、それでもコースそのものは比較的良好な状態だった。
昨年、全日本最高峰となるIA1クラスでは、最終戦での逆転劇により新チャンピオンが誕生。その大倉由揮選手(#1)は、今年もホンダのエースとしてタイトル防衛に臨む。一方、2023~2024年のIA1クラスを制したジェイ・ウィルソン選手(#2)も、昨年同様の体制で参戦。タイトル奪還を狙うが、昨年最終戦で負ったケガにより、まだ万全の状態ではない。ウィルソン選手のチームメイトには、大城魁之輔選手(#3)が昇格。過去にホンダトップチームの経験もあり、再び最高の体制を得た。ダンロップ勢ではこの他にも、カワサキファクトリーチーム入りを果たした内田篤基選手(#97)、カワサキを駆る西條悠人選手(#311)、ヤマハに乗る浅井亮太選手(#7)などの活躍に期待が集まる。
今大会のIA1クラスは、15分+1周の3ヒート制で実施。そのヒート1では、ホールショットの内田選手がすぐに転倒し、まずは大倉選手が先頭に立った。コースは1周目のみ大幅にショートカットされ、2周目からフルコース。その2周目、4番手を走っていた大城選手が転倒して9番手まで後退し、カワサキを駆るベテランの安原志選手(#500)が4番手に浮上した。序盤、トップの大倉選手を3~4秒差で西條選手がマーク。レースが中盤に入ると、西條選手がじわじわと距離を詰め、終盤にはついに僅差となった。するとラスト2周となった11周目の終盤で、大倉選手が転倒。これでトップに立った西條選手がIA1初優勝を遂げた。大倉選手が3位、安原選手が4位、ケガの影響が残るウィルソン選手が5位となった。
決勝ヒート2は、大倉選手がトップ、ウィルソン選手が2番手、大城選手が3番手、タイのライダーでホンダのサポートにより今季は全日本にフル参戦するジラッジ・ワナラック選手(#23)が3番手で1周目をクリアした。2周目以降、大倉選手とウィルソン選手と大城選手は、後続を離しながらトップグループを形成。この中で、まずはウィルソン選手が先頭に立ち、大城選手が続いた。レース中盤、トップグループは1~2秒間隔で膠着状態となったが、終盤になって激戦。大城選手と大倉選手が何度も順位を入れ替えながら、ウィルソン選手に迫った。これに競り勝った大倉選手が優勝、ウィルソン選手が2位、大城選手が3位となった。ワナラック選手は転倒で後退し、スポット参戦したヤマハ開発ライダーの富田俊樹選手(#317)が4位となった。
決勝ヒート3は、スタート直後のタイトターンで、内田選手を抜いてウィルソン選手がトップ。内田選手、大倉選手、大城選手が続いて1周目をクリアした。レース序盤、4台によるトップグループはやや縦に長い展開となって周回を重ねたが、後半に入ってそれぞれの間隔が詰まり接戦に。8周目、内田選手がウィルソン選手に仕掛けたが、逆にこれをチャンスと見た大倉選手が内田選手を逆転した。その勢いのまま、9周目に入ったところで大倉選手がウィルソン選手をパス。ところがその後、ウィルソン選手が再逆転を狙ってコーナーでインに飛び込み、接触を受けた大倉選手が転倒した。翌周、今度は大城選手がウィルソン選手をパス。ここから突き放した大城選手が12周目にトップチェッカーを受けて優勝し、ウィルソン選手が2位、内田選手が3位、大倉選手が4位となった。