全9戦で競われる2026年の全日本モトクロス選手権シリーズは、約2ヵ月間の長い夏休みが明け、いよいよシーズン終盤戦。第7戦近畿大会MRAカップが、三重との県境に近い奈良県に位置する名阪スポーツランドで開催された。複合モータースポーツ施設の一角にあるモトクロスコースはサンド質の路面で、谷地のようになった山の斜面に設けられており、豊富なアップ&ダウンとタイトなレイアウトも特徴とする。今大会は、全日本格式となるクラスの予選を土曜日、決勝をすべて日曜日に実施するタイムスケジュールとされた。
大会直前まで断続的に降り続いた雨により、路面は大量の水分を含んでおり、土曜日朝のコースはぬかるんだ状態。天候は曇り時々晴れで、少し改善傾向だったが、それでも日曜日の朝は柔らかい状態だった。さらに、午前中に20分ほどかなり強めの雨が降り、路面状況が再び悪化。午後は雲の隙間から青空も顔を覗かせ、気温も上昇したが、谷側の低いセクションを中心に路面はソフト傾向のままだった。また、少しずつ締まっていくサンド路面とあって、コースのあらゆる場所に何本ものワダチが発生。非常にタフなレースとなった。
全日本最高峰となるIA1クラスの決勝は、15分+1周の3ヒート制で実施。前戦終了時点のシリーズランキングは、ヤマハファクトリーチームのジェイ・ウィルソン選手(#2)とホンダトップチームの大倉由揮選手(#1)が同点だった。スタート直前から強い雨が降りはじめたヒート1は、大倉選手がホールショット。一方、ウィルソン選手はトップ10圏内を逃すほど出遅れた。レース序盤、トップの大倉選手を1~2秒差でマークしたのは、これが地元大会となる浅井亮太選手(#7)。しかしレースが中盤に入ると、大倉選手が5秒近くまでリードを拡大した。
7周目、大倉選手がややラップタイムを落とし、これで浅井選手が再び約2.5秒差まで接近。さらに浅井選手の後ろには、前の周にチームメイトの大城魁之輔選手(#3)をパスして追い上げてきたウィルソン選手が迫った。8周目、ウィルソン選手は浅井選手の攻略に成功すると、大倉選手に肉迫。ところがここでウィルソン選手がクラッシュし、さらには2番手に返り咲いた浅井選手も転倒で順位を下げた。これで大城選手が2番手となり、大倉選手は約8秒先行。レースは10周でチェッカーとなり、大倉選手が優勝、大城選手が2位、ウィルソン選手が3位となった。
ヒート1から一転して陽射しにも恵まれはじめたヒート2は、再び大倉選手のホールショットで幕を開けた。今度はウィルソン選手もまずまずのスタートを決めると、初っ端から積極的なパッシングをみせて2番手に浮上。さらに大倉選手の攻略にも成功し、ウィルソン選手がトップに立った。抜かれた大倉選手もすぐに再逆転を試みたが、決定的なチャンスは得られず。2周目、4番手を走行していたカワサキファクトリーチームの内田篤基選手(#97)が転倒して12番手に後退し、4番手には浅井選手が上がってきた。
レース序盤、大倉選手はウィルソン選手とのギャップを4秒程度に抑えながら、必死に追走していたが、5周目に転倒。すでに3番手は15秒ほど離れており、順位はキープできたものの、大倉選手はウィルソン選手から15秒ほど遅れた。これにより楽になったウィルソン選手は、10周目のラストラップまで大きなミスなくトップを快走。今季6勝目を挙げた。大倉選手も、最後までポジションを守って2位。ラストラップには浅井選手と大城選手が激しい4番手争いを繰り広げ、これに競り勝った大城選手が4位、浅井選手が5位となった。
今大会最終レースとなったヒート3は、2015年のIA1クラス覇者で現在は大倉選手や池田選手らが所属するチームの監督も務める、スポット参戦の小島庸平選手(#44)がホールショット。これに大倉選手が続くと、小島選手は1周目の途中で先頭を大倉選手に譲った。さらに、池田選手が小島選手に次ぐ3番手。2周目、小島選手は5番手に後退し、内田選手や池田選手をパスしたウィルソン選手が2番手にポジションアップした。すると翌周以降、大倉選手とウィルソン選手が後続を引き離し、再びマッチレースを展開。6周目から本格的な接近戦になった。
ウィルソン選手は、大倉選手を僅差でマークし続けていたが、残り3周となった8周目に転倒。これにより10秒ほどのリードを得た大倉選手はペースを落とし、後続との差をコントロールしながらトップチェッカーを受けた。転倒後に復帰したウィルソン選手は2位でゴール。3番手争いは激戦で、レース中盤は池田選手と内田選手とカワサキに乗る西條悠人選手(#311)のバトルとなり、6周目以降は西條選手が先行した。しかし9周目に西條選手は転倒して後退。8周目に池田選手をパスした大城選手が3位、池田選手が4位、西條選手が5位に入賞した。