JSB1000
長島選手、レース2で表彰台獲得を賭けたバトルを展開

全日本ロードレース選手権第4戦が栃木県・モビリティリゾートもてぎで8月23日・24日と行われた。
このコースでのレースは、今シーズンの開幕戦以来となる。しかし前回は4月20日と春の開催であり、今回は猛暑の中で行われるレースのため、コンディションは大きく異なる。また開幕戦は2&4スタイルだったが、今回は全クラス開催。ただし、開幕戦前に全クラスが参加するラウンドゼロというテストが行われていることもあり、今回に関して事前テストは無かった。
5月25日の第2戦SUGO大会後、鈴鹿サーキットや岡山国際サーキットで開発テストを行い、新たなスペックの前後のタイヤを、ダンロップ技術陣は今回のレースウイークに持ち込んだ。
金曜日のフリー走行1本目から気温は高く、そうした中で長島選手は1分49秒台へ2ラップほど入れ、このセッションでは5番手とまずまずの走り出しとなった。午後2本目も1分50秒台前半から49秒台でラップ。6番手に付け、高温下でもライバルと戦えるレベルにあることを見せた。
土曜日も朝から太陽がサーキットを照り付け、時間の経過とともに気温が上がっていく。この日は9時20分から40分間の予選が行われ、13時55分から15周でレース1がある。
気温29.4度でスタートした予選では、1周目から1分49秒台へ入れ、2周目に1'49.109と結果的にこのセッションでの自己ベストタイムを記録する。13周のロングランをしてピットイン。再びコースインし、6周してチェッカーとなった。この結果、両レースともに8番グリッドからスタートすることとなった。
午後の決勝は気温が34度まで上がり、路面温度も50度を超えるコンディションの中でレースはスタート。長島選手はまずまずのスタートを切り、7番手あたりで2コーナーをクリア。2周目に1つポジションを上げたが、4周目に大きくコースを外れてしまい、10番手にポジションを落としてしまう。ラスト3周になると、バイクトラブルのため1分53秒から54秒、57秒、ラストラップは遂に2分4秒と苦しい走りになり、順位も大きくドロップして12位チェッカーとなった。
日曜日朝のウォームアップ走行は、JSB1000用としてダンロップ技術陣が準備していたバックアップタイヤを使用した。このセッションでもダンロップタイヤの初期の暖まりの良さを発揮し、2周目に1''49.717をマークしてトップに出る。その後、転倒してピットに戻るが、チームがすぐにマシンを修復。再びコースに戻り、決勝への確認を行った。
この日の公式発表で気温は37.1度とされたが、スターティンググリッド上で感じる暑さはそれ以上。路面温度も60度を超える中、20周のレースがスタートした。うまくスタートで飛び出した長島選手は3コーナーまでに3番手へ浮上。さらに直後の5コーナーで2番手まで上がると、その先の130Rではトップに立つ。S時入口でインを刺されるが、クロスラインでトップを守る。2周目に2位に落ちるが、それでもペースが落ちることなく、5周目まで2位をキープする。その後、3位となってその位置を維持していたが、10周目あたりから開幕戦のウイナーである水野 涼選手(DUCATI)が背後に迫り、抜きつ抜かれつのバトルを6周にわたって展開する。ペース的には1分50秒台でコンスタントに周回しており、前日より高いレベルで安定している。残念ながら3位表彰台を賭けたバトルは16周目から徐々に広がり、長島選手の初表彰台獲得は果たせなかったが、高いレベルで走り切って4位入賞獲得は、タイヤ開発が進んでいる証となった。
ライダーコメント
長島哲太選手(DUNLOP Racing Team with YAHAGI)
暑さ対策をした新型タイヤでのレースウイークとなりました。レース1はスタート〜ゴールまで耐えるレースとなってしまいました。あまりにも悔しく、レース後にマシンを降りてすぐにトラックの中に飛び込み、自分の気持ちをリセットしなければならないほどでした。翌日は朝のウォームアップから別のスペックのタイヤを履き、フィーリングが良かったのでそのままレース2もいきました。路面温度が前日より上がったにもかかわらず、安定したパフォーマンスを発揮してくれたので、思い切ったライディングができました。それが、序盤のトップに出た走りでしたし、3位争いを賭けた水野選手とのバトルでした。なんとか表彰台に上がりたかったのですが、現状の実力はこの位置なので、それはしっかりと受け止めます。でも、ファンの皆さんにタイヤの進化、本来の長島哲太の走りはお見せできたと思うので、良かったです。さらに良いタイヤを開発し、初表彰台、初優勝へと繋げていきたいです。
星野知也選手(TONE RT SYNCEDGE4413 BMW)
鈴鹿8耐前に岡山国際サーキットでテストしたタイヤが非常に感触が良く、それを鈴鹿サーキットに持ち込んで、海外チームなどにもテストしてもらいました。その延長線上にあるタイヤを今回も使わせてもらいましたが、とても感触として良いものがありました。具体的にはリアタイヤで、接地面積をこれまでとは異なるものとし、加速方向にプラスになるようトライしたものです。もちろん開発中なのでネガもありますが、ポジティブな部分が大きく、レース1、レース2ともにこのタイヤのおかげで良い位置を走ることができました。レース2はマシンのちょっとしたトラブルがあって転倒してしまい、連続ポイント獲得ができなかったのは悔しいですが、新型車両のシェイクダウンをしながらのレースウイークでこの結果だったので、今後のレースが楽しみになりました。
JSB1000 RACE1Result
順位 | 選手名 | チーム | メーカー | タイム | |
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1位 | 浦本修充 | AutoRace Ube Racing Team | BMW | 27'24.887 | |
2位 | 中須賀克行 | YAMAHA FACTORY RACING TEAM | YAMAHA | 27'31.469 | |
3位 | 津田拓也 | Team SUZUKI CN CHALLENGE | SUZUKI | 27'37.914 | |
4位 | 水野 涼 | DUCATI Team KAGAYAMA | DUCATI | 27'39.593 | |
5位 | 野佐根航汰 | Astemo Pro Honda SI Racing | HONDA | 27'41.907 | |
6位 | 岩田 悟 | Team ATJ | HONDA | 27'46.717 | |
10位 | 星野知也 | TONE RT SYNCEDGE4413 BMW | BMW | 28'14.196 | ![]() |
12位 | 長島哲太 | DUNLOP Racing Team with YAHAGI | HONDA | 28'26.200 | ![]() |
JSB1000 RACE2Result
順位 | 選手名 | チーム | メーカー | タイム | |
1位 | 浦本修充 | AutoRace Ube Racing Team | BMW | 36'35.830 | |
2位 | 中須賀克行 | YAMAHA FACTORY RACING TEAM | YAMAHA | 36'42.364 | |
3位 | 水野 涼 | DUCATI Team KAGAYAMA | DUCATI | 36'50.401 | |
4位 | 長島哲太 | DUNLOP Racing Team with YAHAGI | HONDA | 36'58.085 | ![]() |
5位 | 岩田 悟 | Team ATJ | HONDA | 37'04.995 | |
6位 | 名越哲平 | SDG Team HARC-PRO. | HONDA | 37'07.788 | |
リタイヤ | 星野知也 | TONE RT SYNCEDGE4413 BMW | BMW | ![]() |