JSB1000
長島哲太、雨の岡山で優勝 終盤の連続ファステストで後続を引き離す
全日本ロードレース選手権第6戦が、9月26日・27日に岡山県の岡山国際サーキットで開催された。金曜日のドライから、予選、決勝はウェットへとコンディションが変化する中、DUNLOP Racing Team with YAHAGIの長島哲太選手がJSB1000クラスで優勝。
前戦もてぎでわずか0秒100差で逃した勝利を、雨の岡山でつかみ取った。
【フリー走行・予選】
金曜日のA.R.T.合同走行は、午前、午後ともにドライコンディションで行われた。午前は気温25度、路面温度37度。長島選手は連続走行中の10周目に1分31秒590を記録すると、一度ピットに戻った後もタイムを短縮し、最終17周目に1分31秒275をマーク。トップでセッションを終えた。
午後は気温32度、路面温度40度まで上昇。長島選手は1分31秒台を中心に周回を重ね、17周目には1分30秒970までタイムを短縮した。トップから0秒331差の4番手につけ、ドライでの速さを確認して予選へ進んだ。
土曜日の公式予選は、気温22度、路面温度24度のウェットコンディションとなった。Q1で長島選手は1分44秒781を記録し、トップから0秒282差の3番手でQ2へ進出。Q2では2周目に1分45秒353、4周目に1分44秒470とタイムを縮め、7周目には自己ベストとなる1分44秒251を記録した。最終9周目にも1分44秒295とベストに近いタイムをマークし、決勝は4番グリッドからスタートすることとなった。
同じくDUNLOPタイヤを使用するTONE Team4413 BMWの星野知也選手は6番グリッド、吉田愛乃助選手は9番グリッドを獲得。RSNの中冨伸一選手は11番グリッドにつけた。
【ウォームアップ】
日曜日は朝から小雨が落ちたものの、JSB1000クラスのウォームアップ走行はドライコンディションで行われた。長島選手は9周を走行し、5周目に1分33秒160を記録。トップの國井勇輝選手からわずか0秒079差の2番手でセッションを終えた。
その後、再び雨が降り始め、午後の決勝はウェットコンディションに。朝とは異なる路面状況でレースを迎えた。
【決勝】
決勝は気温23度、路面温度23度の中、当初の予定から3周減算された21周で争われた。4番グリッドからスタートした長島選手は、オープニングラップを國井選手、中須賀克行選手に続く3番手で通過。序盤は前の2台を追う展開となり、3周終了時にはトップとの差が1秒947まで広がったが、4周目に1分45秒611、6周目に1分45秒237とペースを上げていった。
7周目には1分45秒111を記録し、トップとの差を0秒546まで短縮。9周目に1分45秒075、10周目には1分45秒004とさらにタイムを詰め、國井選手、中須賀選手との3台によるトップ争いに持ち込んだ。
中盤に入っても長島選手のペースは落ちず、12周目には1分44秒384をマーク。トップの國井選手から0秒275差、2番手の中須賀選手とは0秒153差まで接近した。14周目に中須賀選手がヘアピンで転倒すると、長島選手は2番手へ浮上。國井選手との一騎打ちとなった。
長島選手は15周目に1分44秒646、16周目には1分44秒009を記録し、國井選手の背後へ迫った。16周終了時の差はわずか0秒019。続く17周目にトップへ立つと、1分43秒946のファステストラップを刻み、この周を終えた時点で3秒914のリードを築いた。
さらに18周目には、このレースの最速タイムとなる1分43秒909を記録。2周続けて1分43秒台に入れる速さで、國井選手との差を6秒770へと広げた。19周目も1分44秒956で周回し、リードは8秒299に拡大。長島選手は21周を37分00秒288で走り切り、2位に7秒057差をつけてトップチェッカーを受けた。
前戦もてぎでは、最終ラップまで勝利を争いながら僅差の2位。今回は追う立場から終盤に主導権を握り、後続を引き離して勝利につなげた。雨の中で着実にペースを上げ、レース終盤に最速ラップを更新した走りは、長島選手とDUNLOPにとって大きな成果となった。
TONE Team4413 BMWの吉田選手は、9番グリッドから順位を上げて6位でフィニッシュ。同チームの星野選手も21周を走り切り、8位に入った。RSNの中冨選手は20周を走行して15位となり、DUNLOP勢は4台すべてが完走を果たした。
【コメント】
■JSB1000 #45 長島哲太選手
決勝はしっかり前に出て、そこからスパートをかけて逃げ切ることができたので、ホッとしています。
予選のフィーリングでは、1分43秒台はちょっと厳しいかなと思っていました。ただ、1分44秒台であれば、自分の中ではかなりセーフティマージンを取って走れるところだったので、ペース自体はそれほどつらくありませんでした。
でも、ライバルたちとはタイヤメーカーが違うので、特性の違いから速いところと遅いところがかなり違うんです。追いついても、つられて同じように走ると止まれなかったり、リアが流れてしまったりして、また離される。その繰り返しがかなりありました。
雨量が変わる中でのペースについては、もう國井選手についていくだけでした。國井選手がうまくペースを作ってくれていたので、逆にそれがなければ、もう少し落ち着いたペースでの展開になっていたかもしれません。1周目からかなりいいペースだったので、自分と中須賀さんは、どちらかというとそれにつられるような形で、最初は間隔を維持しながら走っていました。國井選手が少しミスをすると差が詰まるなど、序盤はそういう展開の繰り返しでした。
序盤は本当に雨量が多くて、モスSあたりは、いつ飛んでもおかしくないような感覚でした。ただ、最後の方はだいぶ雨が落ち着いてきたのか、そのあたりを安心して走れるようになって、少しペースを上げられました。そういう意味では、最後にうまくペースを上げられたことが、すごく良かったと思います。
國井選手を抜くときは、本当に申し訳ないと思うくらい際どくなってしまいました。抜いた後も、後ろを見ている余裕はありませんでした。後ろを確認している間に状況が変わってしまうこともあると思っていたので、抜いてから2、3周は、まったく後ろを見ずに走っていました。パッと確認したときに結構ギャップがあって、自分でもびっくりしました。そこからは、かなり落ち着いて走れたという感じです。
今回は予選でも新しいレインタイヤを試していました。ダンロップが頑張ってくれて、前回のもてぎからさらにアップデートしてくれたので、そこは本当にダンロップに感謝しかありません。
3年間取り組んできて、こうして勝てたことは、素直にすごくうれしいです。ただ、やっぱりウェットはウェットなので、ドライで勝たないと証明できない部分があると思っています。ドライでは間違いなく水野選手が速かったですし、勝てるかどうか分からない状況でした。そういう意味では、これで完全に勝ったとは思っていません。鈴鹿でしっかりリベンジというか、ドライでしっかり戦えるように頑張りたいです。
雨のレースなので、タフなレースになることは分かっていました。昔も、ダンロップが雨で強かった時期はありました。ただ、雨はそのときの状況によって、かなり変わってしまいます。もちろん勝ちは勝ちなんですけど、ライダーとしては素直に喜びきれない部分もあります。しっかりドライで勝ち切れるように、また頑張りたいと思います。
■JSB1000 #46 星野知也選手
今回はドライよりもウェットの方がフィーリングは良かったです。ドライでは、好みのタイヤでタイムは出せても、レースを通して性能を維持することに課題がありました。ウェットは予選最後のアタックで、ほぼ思いどおりのグリップを感じられました。昨年の岡山では雨で何度も転倒していますし、今もけががあるので、絶対に転ばないように走って6番手。もっと攻めれば、さらにタイムを詰められる感触はありました。ただ、決勝は雨量とセッティングが合わず、期待に応えられなかったことは悔しいです。それでも、膝が良くなりかけている中で転倒せず、8位で終えられたことは大きいと思います。愛乃助も雨で自信をつけてきていますし、チームとして初めて2台そろってシングルフィニッシュできたことは良かったです。けがを悪化させずに終えられたので、鈴鹿につながるレースになったと思います。
■JSB1000 #21 中冨伸一選手
今回もタイヤテストを優先しながら走行を進めました。部材の変更に伴い、従来品と同等の性能が得られるかを確認するテストが中心でしたが、走る機会の多い岡山なので、車両の方向性もある程度絞れていました。予選では感触の良いタイヤもあり、Q2進出の可能性は感じていました。ただ、アタック中にハイサイドになりかけ、タイムを出し切れませんでした。雨ならうまく走ればトップ10を狙える感覚はありましたし、朝のウォームアップでもセット変更に手応えがあり、決勝を楽しみにしていました。しかし、決勝ではタイヤのフィーリングが合わず、ペースを上げられない中で何度も転びそうになる苦しいレースでした。ピットに戻ることも考えましたが、最後まで走り切ろうと思って完走しました。最終戦の鈴鹿も厳しい戦いになると思いますが、昨年はけがで走れなかったので、今年は転倒せず、しっかり入賞して終えたいです。
■栃木祐紀(タイヤ事業本部 技術本部 第二技術部)
今回の岡山に向けて、スリックタイヤは前戦もてぎで使用したリアタイヤを基準に、エッジグリップの向上を狙った仕様を準備しました。事前テストは雨の影響で十分な比較ができず、短い走行の中で改善の可能性が見られた仕様を、レースウイークに改めて評価しました。
基準タイヤとの比較では、テストタイヤにメリットがあった一方で、マイナスとなる部分もありました。総合的には基準タイヤの方が優れていると判断し、ドライコンディションでの決勝となった場合は、もてぎで使用した仕様を選択する予定でした。
レインタイヤについては、前戦もてぎでフロントにブレーキング時の切れ込みや摩耗、リアに排水性の課題が出ていました。今回の岡山では、まずフロントの課題に対応するため、剛性バランスを見直した新しい仕様を準備しました。
新しいフロントレインタイヤは、事前テストでは雨量の少ない条件で、レースウイークには雨量の多い条件でも確認することができました。いずれの条件でも、もてぎで発生した問題は見られませんでした。異なる雨量での確認が十分にできていたため、決勝では雨量にかかわらず、この新しいフロントレインタイヤを使用する判断をしました。
決勝に向けては、車両のセットアップも大きく変更しました。予選ではリアタイヤへの負荷が高く、摩耗状態も良くありませんでした。ライダーのコメントに加え、タイヤの摩耗状態や温度を踏まえ、タイヤへの負荷を減らす方向にセットアップを進めました。
この変更に加え、長島選手がレース中にタイヤと車体に合わせて走りを調整してくれたことが、終盤まで性能を大きく低下させずに走れた要因だと考えています。レース後のタイヤの摩耗状態も、事前の想定より良好でした。車両側で負荷を抑えられたことが、レースを通じた安定した走りと、終盤の速さにつながったのだと思います。
今回、新しいフロントレインタイヤは雨量の多いコンディションでも問題なく機能し、マイナス面は確認されませんでした。一方で、リアにはまだ課題が残っています。1コーナーやモスSなどでは、進入時、立ち上がりともにリアが横に流れ、他社タイヤを使用するライダーに離される場面が見られました。
次戦の鈴鹿に向けては、リアレインタイヤの排水性とグリップの向上を狙った仕様の準備を進めています。ドライでの勝利に向けても、旋回性とリアタイヤのエッジグリップをさらに高めるため、開発を続けていきます。
JSB1000 決勝Result
| 順位 | 選手名 | チーム | メーカー | タイム | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 長島 哲太 | DUNLOP Racing Team with YAHAGI | HONDA | 37'00.288 | |
| 2位 | 國井 勇輝 | SDG Team HARC-PRO.Honda | HONDA | 37'07.345 | |
| 3位 | 水野 涼 | SDG DUCATI Team KAGAYAMA | DUCATI | 37'34.783 | |
| 4位 | 岩田 悟 | Team ATJ | HONDA | 37'45.918 | |
| 5位 | 鈴木 光来 | Team ATJ | HONDA | 37'53.622 | |
| 6位 | 吉田 愛乃助 | TONE Team4413 BMW | BMW | 37'56.708 | |
| 8位 | 星野 知也 | TONE Team4413 BMW | BMW | 38'19.034 | |
| 15位 | 中冨 伸一 | RSN | YAMAHA | 38'21.047 |
JSB1000Point
| 順位 | 選手名 | ゼッケン | チーム / メーカー | ポイント | |
| 1位 | 水野 涼 | 88 | SDG DUCATI Team KAGAYAMA | 191.0 | |
| 2位 | 長島 哲太 | 45 | DUNLOP Racing Team with YAHAGI | 137.0 | |
| 3位 | 中須賀 克行 | 1 | YAMAHA FACTORY RACING TEAM | 109.0 | |
| 4位 | 國井 勇輝 | 92 | SDG Team HARC-PRO.Honda | 107.0 | |
| 5位 | 野左根 航汰 | 4 | Astemo Pro Honda SI Racing | 95.0 | |
| 6位 | 岩田 悟 | 6 | Team ATJ | 71.0 |