JSB1000

長島哲太、両レースのポールポジションを獲得 レース1で3位表彰台、プロジェクト最終年をランキング3位で終えた

全日本ロードレース選手権第7戦MFJグランプリが、10月24日・25日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された。前戦岡山のウェットレースで優勝を飾ったDUNLOP Racing Team with YAHAGIの長島哲太選手は、ドライでの勝利を目指して最終戦に臨んだ。

【特別スポーツ走行/10月22日(木)】

レースウイークは、木曜日の特別スポーツ走行から始まった。10月22日は2回の走行が設けられ、いずれも晴天の下、ドライコンディションで行われた。
1回目、長島選手は7周を走行。3周目に2分09秒397、4周目に2分08秒439とタイムを縮め、5周目にはこのセッションの自己ベストとなる2分07秒441を記録した。トップの浦本修充選手から1秒790差の7番手で、最初の走行を終えた。
2回目は13周を走行し、4周目に2分06秒895と、1回目のベストタイムを更新。5周目には2分06秒757を記録した。その後もタイムを詰め、10周目にこの日の自己ベストとなる2分06秒233をマーク。続く11周目にも2分06秒591を記録した。
長島選手は1回目から1秒208短縮したが、周囲もタイムを上げ、トップから2秒045差の総合11番手となった。2回の走行で計20周を走り、初日を終えた。
同じくDUNLOPタイヤを使用するRSNの中冨伸一選手は、1回目に7周を走行し、2分10秒007で16番手。2回目は10周を走り、4周目に2分09秒286を記録した。1回目から0秒721短縮し、総合18番手につけた。

【A.R.T.合同走行/10月23日(金)】

金曜日のA.R.T.合同走行は、午前、午後ともに曇り空の下、ドライコンディションで行われた。午前の気温は16.3度。長島選手は13周を走行し、8周目に2分04秒838を記録した。トップのジョン・マクフィー選手から0秒148差の3番手につけ、前日の特別スポーツ走行からタイムを短縮した。
午後は17周を走行。長島選手はセッション後半にタイムを詰め、15周目に午前の自己ベストを上回る2分04秒753をマークした。トップから0秒737差の6番手で走行を終え、午前、午後を合わせて30周を重ねて公式予選に備えた。

【公式予選/10月24日(土)】

土曜日は天候が変わり、公式予選は雨の降るウェットコンディションとなった。前のセッションの赤旗中断により開始時刻が変更され、JSB1000クラスの予選も途中に赤旗中断を挟む展開となった。
前戦岡山のウェットレースを制した長島選手は、この予選でも上位につけた。再開後の9周目に2分17秒008を記録すると、12周目には2分16秒352までタイムを短縮。高橋巧選手をわずか0秒019上回り、ベストラップタイムでトップに立った。
セカンドラップタイムでも、長島選手の2分17秒008がトップとなり、両レースのポールポジションを獲得。雨の鈴鹿で速さを示した。

【決勝レース1/10月24日(土)】

土曜日午後のレース1は、ウェットコンディションの中、14周で争われた。ポールポジションからスタートした長島選手は、ホールショットを奪った水野涼選手を追い、オープニングラップのスプーンカーブ進入で前へ出た。
トップに立った長島選手は、2周目に2分17秒224を記録。この周を終えた時点で、水野選手に0秒305の差をつけた。しかし、3周目のバックストレートで水野選手に先行を許し、2番手から追う展開となった。
長島選手は5周目に、予選の自己ベストを0秒311上回る2分16秒041をマーク。トップとの差を1秒345として追走を続けた。7周目にも2分16秒150、8周目には2分16秒303を記録したが、2分15秒台で周回する水野選手との差は少しずつ広がっていった。

レース後半には、中須賀克行選手が長島選手の背後へ迫った。8周終了時には1秒275あった2台の差が、9周終了時には0秒822、10周終了時には0秒103まで縮まり、接近戦となった。11周目のNIPPOコーナーで中須賀選手がイン側から前へ出ると、長島選手は3番手となった。
その後も長島選手は2分17秒台で周回を重ね、14周を31分59秒715で走破。優勝した水野選手から10秒916差の3位でチェッカーを受け、前戦岡山に続いて表彰台に立った。
このレースで水野選手が優勝とともにチャンピオンを決め、長島選手のタイトル獲得の可能性はなくなった。長島選手は、全力を尽くしても届かなかった結果を受け止め、勝ってタイトルを決めた水野選手を「かっこいいの一言に尽きます」とたたえた。その一方で、自身にとってこのプロジェクトで最後となるレース2へ向け、さらに改善を図り、良い形で締めくくる決意を示した。

TONE Team4413 BMWの星野知也選手は、最終ラップに自身のレースベストとなる2分19秒659を記録し、15位でフィニッシュ。同チームの吉田愛乃助選手は17位、中冨選手は18位となり、DUNLOPタイヤを使用する4選手全員が14周を走り切った。

【ウォームアップ/10月25日(日)】

日曜日朝のウォームアップ走行は、曇り空の下、ウェットコンディションで行われた。前日のレース1で3位に入った長島選手は3周を走行。2周目に2分20秒950を記録し、トップの中須賀選手から2秒651差の11番手でセッションを終えた。
星野選手は5周を走行し、4周目に2分25秒781を記録して17番手。中冨選手は7周を走行し、6周目の2分25秒825で18番手となった。吉田選手も7周を走行し、最終周に2分27秒002を記録して19番手につけた。

【決勝レース2/10月25日(日)】

シーズンを締めくくるレース2は、進行の遅れにより開始予定時刻が20分遅い午後2時に変更され、周回数も当初の16周から4周減算された12周となった。路面はウェットだったが、前日のレース1より雨量が少なく、異なるコンディションへの対応が求められた。
予選のセカンドラップタイムでもトップだった長島選手は、レース1に続いてポールポジションからスタート。2周目に2分18秒015を記録し、3周目にはスプーンカーブ進入で3番手へ浮上した。この周には自身のレースベストとなる2分17秒838をマークし、上位争いを続けた。
しかし、4周目に転倒。すぐにマシンを起こして再スタートしたものの、大きくタイムを失い、19番手まで後退した。この周のラップタイムは2分46秒030となった。

長島選手は走行を続け、5周目から8周目にかけて2分19秒台で周回。順位を挽回し、12周を28分26秒856で走り切って15位でチェッカーを受けた。
長島選手にとって、雨量が減ったレース2は思うような走りができず、厳しい最終レースとなった。それでも、最終戦までチャンピオン争いに加わり、前戦岡山では優勝を達成。今回の鈴鹿ではドライのフリー走行で2分04秒台を記録し、ウェットの予選ではベスト、セカンドの両タイムでトップに立つなど、開発の進歩を示した。ライバルを上回るための課題を残しながらも、長島選手は3年間の取り組みで得た成果を振り返り、今後も戦いを続けていく意欲を語った。

星野選手は17位、吉田選手は18位、中冨選手は吉田選手から0秒289差の19位でフィニッシュ。DUNLOPタイヤを使用する4選手全員が12周を走り切り、シーズン最終レースを終えた。

【コメント】

■JSB1000 #45 長島哲太選手

「鈴鹿サーキットは、最終コーナーや逆バンクの立ち上がりなど、タイヤに高い荷重がかかる場所が多く、そうした場所への対応が依然として大きな課題であることから、苦戦を覚悟してサーキット入りしました。それでも、フリー走行では2分04秒台に入れることができ、大きな進化を感じました。ただ、乗り方など、タイヤの使い方に工夫が必要なので、まだまだ開発の余地はあります。
予選は、ウェットコンディションと、チームと一緒に選んだタイヤのマッチングが良く、ポールポジションを獲得できました。レース1は予選に近いコンディションだったので、それなりのレースができましたが、レース2は雨量が少なくなったため、思うような走りができませんでした。苦戦を強いられ、オーバーランしてしまいました。
とはいえ、最終戦までチャンピオン争いができましたし、1勝を挙げることもできました。ライバルを超えるにはさらなる開発が必要ですが、課題が明確になったことも大きな収穫だと思います。3年間のプロジェクトはいったん終わりますが、まだタイヤの開発は続いていきます。引き続き、ダンロップの応援をよろしくお願いします」

■ダンロップ エンジニアコメント

「今回の鈴鹿に向けては、前戦岡山後にプライベートテストを行い、スリックタイヤは長島選手から評価の高かった構造違いの仕様を複数持ち込みました。レインタイヤは、岡山で指摘されていた浅いバンク角でのグリップ不足を改善するため、リアの剛性分布を見直した新仕様を投入し、コーナー進入時や加速時の安定性向上を狙いました。
スリックタイヤは、昨年の鈴鹿からフロント、リアともに構造や配合の改良を積み重ねてきました。決勝を想定した仕様で2分04秒台を記録できたことは、開発の方向性が正しかったことを示す結果だと考えています。一方、最終コーナーや逆バンクの立ち上がりなど、高い荷重がかかる区間ではタイヤに動きが発生する課題が残りました。対策として剛性を高めたハード仕様も用意しましたが、気温、路面温度ともに低く、十分な評価はできませんでした。
新しいリアレインタイヤでは、従来仕様で発生していた浅いバンク角でのグリップ抜けが改善され、制動時と加速時の安定性向上を確認できました。特に予選は十分な水量があり、レインタイヤ本来の性能を発揮して、高いグリップを示せたと考えています。
しかし、決勝は雨量が少なく、路面が乾き始める状況となりました。そのため、トレッドゴムの発熱が大きくなり、十分なウェット性能を維持することが難しくなりました。水量の多い路面での競争力を確認できた一方、路面が乾いていく過程への対応が課題として明確になりました。
昨年の鈴鹿ではヘビーレインで苦戦したため、この1年間はウェット性能の向上に重点を置いて開発してきました。その結果、岡山の決勝や今回の予選のように、水量が十分にある条件では性能を発揮できるようになってきました。ただ、対応できる条件の幅はまだ十分ではありません。今後はパターンやトレッドゴムを改良し、より幅広いウェットコンディションで安定した性能を発揮できるようにする必要があります。
3年間のプロジェクトで目標としていたチャンピオン獲得には届きませんでしたが、市販タイヤに転用できる技術を確立し、さらなる性能向上に必要な課題を明確にできたことは大きな成果です」

■JSB1000 #46 星野知也選手

「鈴鹿は練習走行の走り出しから、うまくリズムをつかめませんでした。ドライでは自己ベスト更新を目指しましたが、1秒ほど届きませんでした。雨になった予選では気持ちを切り替え、まずまずの位置につけられました。
ただ、レース1、レース2ともに雨量が少なく、僕たちの使っているタイヤには厳しいコンディションでした。鈴鹿はタイヤのエッジを使う場所が多く、水が少ないと、その部分の動きが出て、バイクを前に進めにくいんです。もっと雨量があれば、フィーリングも違ったと思います。自分としては決して遅いペースではなかったと思いますが、ライバルのタイヤと路面状況の相性が良く、勝負するのが難しかったです。
一方で、体の状態はだいぶ良くなり、走りの中でも体を使えるようになってきました。来年についてはまだ決まっていませんが、走れるのであれば、また全力で取り組みたいと思います」

■JSB1000 #21 中冨伸一選手

「今回は特にレインタイヤのテストをしたいと考えていて、ドライ、ウェットの両方で確認できたことは収穫でした。予選で12番手のタイムを出したのは市販タイヤで、その後に試した2本は、期待した性能を得られませんでした。ただ、良くない部分を確認できたことにも意味があります。
決勝は両レースとも次第に路面の水が少なくなり、厳しい状況でした。バンク角を深くするとタイヤのパターンがよれて滑りにつながるように感じ、エッジ部分のグリップが課題だと再認識しました。
順位には納得していませんが、精いっぱい走ってゴールした結果です。昨年は転倒して入院する形で終わったので、今年は無事に終えられたことも良かったです。予選では、条件が整えばまだ走れるところを見せられたと思います。決勝でも初めて使うタイヤを試すことがありますが、それが僕の仕事です。今回確認できたことを、今後の製品開発に生かしていきたいと思います」


JSB1000 決勝 Race1Result

順位 選手名 チーム メーカー タイム
1位 水野 涼 SDG DUCATI Team KAGAYAMA DUCATI 31'48.799
2位 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YAMAHA 31'55.241
3位 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI HONDA 31'59.715 Dunlop ユーザー
4位 國井 勇輝 SDG Team HARC-PRO.Honda HONDA 32'07.019
5位 日浦 大治朗 Team SAKURAI HONDA HONDA 32'11.825
6位 岩田 悟 Team ATJ HONDA 32'13.371
15位 星野 知也 TONE Team4413 BMW BMW 32'54.653 Dunlop ユーザー
17位 吉田 愛乃助 TONE Team4413 BMW BMW 33'02.842 Dunlop ユーザー
18位 中冨 伸一 RSN YAMAHA 33'15.447 Dunlop ユーザー

JSB1000 決勝 Race2Result

順位 選手名 チーム メーカー タイム
1位 中須賀 克行 YAMAHA FACTORY RACING TEAM YAMAHA 27'29.882
2位 高橋 巧 Honda HRC Test team HONDA 27'30.709
3位 水野 涼 SDG DUCATI Team KAGAYAMA DUCATI 27'36.029
4位 ジョン・マクフィー F.C.C. TSR Honda France HONDA 27'40.984
5位 浦本 修充 AutoRace Ube Racing Team BMW 27'41.477
6位 日浦 大治朗 Team SAKURAI HONDA HONDA 27'43.356
15位 長島 哲太 DUNLOP Racing Team with YAHAGI HONDA 28'26.856 Dunlop ユーザー
17位 星野 知也 TONE Team4413 BMW BMW 28'40.974 Dunlop ユーザー
18位 吉田 愛乃助 TONE Team4413 BMW BMW 28'56.446 Dunlop ユーザー
19位 中冨 伸一 RSN YAMAHA 28'56.735 Dunlop ユーザー

JSB1000Point

順位 選手名 ゼッケン チーム / メーカー ポイント
1位 水野 涼 88 SDG DUCATI Team KAGAYAMA 238.0
2位 中須賀 克行 1 YAMAHA FACTORY RACING TEAM 160.0
3位 長島 哲太 45 DUNLOP Racing Team with YAHAGI 160.0 Dunlop ユーザー
4位 國井 勇輝 92 SDG Team HARC-PRO.Honda 135.0
5位 野左根 航汰 4 Astemo Pro Honda SI Racing 111.0
6位 岩田 悟 6 Team ATJ 94.0


ST1000

國峰啄磨、今季初優勝で逆転チャンピオン!

決勝日の昼ごろに雨が激しくなったため、ST1000クラスの決勝スタートは約30分遅れ、周回数も当初の12周から10周に短縮された。スタート時には雨量が減り、レース後半には雨がやんで空が明るくなるなど、コンディションが変化する中で争われた。ホールショットを奪ったのは、ポールポジションからスタートした鳥羽海渡選手。予選3番手の國峰啄磨選手がオープニングラップのスプーンカーブでトップに立ち、レースを引っ張った。予選10番手の羽田太河選手も好スタートから順位を上げ、オープニングラップのシケインで2番手に浮上。國峰選手を追い、4周目のシケインでトップに立った。國峰選手も離されずに追走したが、6周目の逆バンク進入で羽田選手が転倒した。これで単独トップに立った國峰選手は、そのまま10周を走り切り、今季初優勝。逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。

■ST1000 #104 國峰啄磨選手

「雨量は昨日より少し多かったと思いますが、雨が上がって徐々に路面コンディションが良くなる中、思うようにペースを上げられず、後ろのことを考える余裕もなく必死に走っていました。
途中で羽田選手に追いつかれましたが、このまま負けてはいつもと同じですし、自分にもまだ余力があったので、ついていって勝負を仕掛けるつもりでした。その矢先に羽田選手が転倒し、絶対に勝たなければと思いました。目の前での転倒に少しペースを乱しましたが、最後まで走り切り、トップでゴールできて良かったです」


ST1000 決勝Result

順位 選手名 チーム メーカー タイム
1位 國峰 啄磨 TOHO Racing HONDA 23'35.226 Dunlop ユーザー
2位 阿部 恵斗 SDG Team HARC-PRO. Honda HONDA 23'37.620 Dunlop ユーザー
3位 荒川 晃大 Astemo Pro Honda SI Racing HONDA 23'39.624 Dunlop ユーザー
4位 名越 哲平 SDG Team HARC-PRO. Honda HONDA 23'43.395 Dunlop ユーザー
5位 豊島 怜 MOTOBUM HONDA HONDA 23'44.446 Dunlop ユーザー
6位 和田 留佳 Team TATARA aprilia APRILIA 23'50.762 Dunlop ユーザー

ST1000Point

順位 選手名 ゼッケン チーム / メーカー ポイント
1位 國峰 啄磨 104 TOHO Racing 128.0 Dunlop ユーザー
2位 羽田 太河 1 Astemo Pro Honda S I Racing 113.0 Dunlop ユーザー
3位 荒川 晃大 5 Astemo Pro Honda SIRacing 81.0 Dunlop ユーザー
4位 名越 哲平 56 SDG Team HARC-PRO. Honda 76.0 Dunlop ユーザー
5位 井手 翔太 4 AKENO SPEED.RC KOSHIEN 59.0 Dunlop ユーザー
6位 豊島 怜 7 MOTOBUM HONDA 59.0 Dunlop ユーザー