アメリカの東部には、MXGPの本場ヨーロッパを彷彿とさせるコースが多い。ペンシルバニア州南端に位置する、マウントモーリスのハイポイント・レースウェイも同様だ。それは1977年にコースが創設された際、アメリカに遠征していたヨーロピアンライダーが設計に参加したからで、基本的なレイアウトは40年以上変わっていない。昨年実施されたコース改修では、スタート地点の移設などが行われたが、アップダウン、逆バンク、連続ジャンプなど象徴的な要素は健在だ。
マウントモーリスは雨の降りやすい土地柄で、語り継がれてきた名勝負の多くはマディコンディションで繰り広げられたものだ。だが今年は、3日前の水曜に降雨があっただけで、レース日は快晴に恵まれた。今大会はタイムスケジュールが通常とは異なり、450→250の順で実施された。注目のクオリファイ、富田俊樹（ホンダ）は450＝24位、渡辺祐介（ヤマハ）は250＝32位で決勝進出を果たした。
450クラスのヒート1は、1コーナーにおける多重クラッシュで幕を開けた。ケン・ロクスン（ホンダ）、ブレイク・バゲット（KTM）、ウェストン・パイク（スズキ）らが最後尾からのレースを強いられる。トップグループはイーライ・トマック（カワサキ）、ジャスティン・バーシア（ヤマハ）、マービン・ムスキャン（KTM）、コーディ・クーパー（ホンダ）らで構成された。
トマックは前半で5秒強のリードを築いたが、2位に浮上したムスキャンが接近。終盤の12周目には、ムスキャンがトマック攻略に成功し、今シーズン初優勝を遂げた。大差の3位にはバーシア、4位には450にスイッチしたジャスティン・ヒル（スズキ）が入った。
450クラスのヒート2では、ロクスンがホールショットを取った。1周目からトップ争いで前後していたトマックが、2周目からリードを固めた。中盤からは2位に浮上したムスキャンが、トマックを追い詰めて一騎打ちとなる。サイドバイサイドの優勝争いが、ファイナルラップまで続いたが、トマックが辛くも逃げ切った。
富田は29位／11位で自己ベストを更新。ヒート1は多重クラッシュで出遅れたが、ヒート2ではスタート6位から好位置をキープ。カイル・カニンハム（スズキ）のラストスパートを振り切り、チェッカーを受けた。

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250クラスのヒート1では、ホールショットのジャスティン・クーパー（ヤマハ）をかわして、アーロン・プレシンガー（ヤマハ）がオープニングラップからトップに立った。3位以下には、レッドナンバープレートのジェレミー・マーティン（ホンダ）、ジョーダン・スミス（KTM）が続く。
早々と独走態勢を固めたプレシンガーは、10秒以上の貯金を作り主導権を握る。レース後半の10周目にはJ・マーティンが2位に浮上したが、優位を保ったプレシンガーが優勝した。
250クラスのヒート2は、やはりクーパーがホールショットを取ったが、コースをオーバーランする間にJ・マーティンが前に出た。オースティン・フォークナー（カワサキ）、チェイス・セクストン（ホンダ）を挟み、ヒート1の勝者プレシンガーが5位につけた。
リーダーのJ・マーティンは、レース前半で独走状態となり、8周目2位に浮上したプレシンガーに対して12秒差を確保していた。しかし迎えた9周目、マシントラブルでリタイア。ここでトップに立ったプレシンガーが、フォークナーの追撃を振り切って優勝。3位には負傷欠場から復帰した、ディラン・フェランディス（ヤマハ）が入賞した。
渡辺は22位／DNF。ヒート1では自己ベストリザルトを記録したが、ヒート2は飛び石で左手を負傷してリタイアを余儀なくされた。
250クラスのランキングは、今大会で2度目のパーフェクトウィン（4ヒート優勝）を飾ったプレシンガーが、20ポイント差で首位に返り咲くこととなった。ディフェンディングチャンピオンのザック・オズボーン（ハスクバーナ）が負傷欠場したり、J・マーティンが不運に襲われるなど、予断を許さない状況が続いている。

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