ザ・ウィック338は、アメリカ国内屈指のサンドコース。'14~'15年は契約更新などの絡みで、AMAプロモトクロスの開催が中断されていたが、'16年から再開され今大会に至っている。
アメリカではディープサンドと呼ばれてきた路面ではあるが、オランダやベルギーのような底なしのサンドとは趣が異なる。近年は締まったベースの上に積もった砂が徐々に流失した結果、浅めのサンドと硬い底がトラクションを惑わせる、難しい路面へと変化している。以前は深いサンドだったため、ライン取りにも自由度があったが、今年はイン側にできたワダチを多用する傾向が顕著だった。
今大会のエントリーは450=89台、250=64台というアンバランスな数字になった。その理由はローカルライダーのスポット参戦が多いことと、サンドコースに求められるパワー特性が反映されているからだ。ローカルライダーの実力は極めて高く、タイムアタックでは2分10秒582を記録したロビー・マーシャル(KTM)が、450クラス予選5位に食い込んだことが注目された。
450クラスのヒート1では、今大会からカムバックしたジャスティン・ボーグル(スズキ)がホールショットを取ったが、オープニングの混戦に飲み込まれて後退。1周目のオーダーは、ケン・ロクスン(ホンダ)、ジャスティン・バーシア(ヤマハ)、マービン・ムスキャン(KTM)となった。5周目にはバーシアがトップに立ったが、6周目からはムスキャンがリーダーを務める。
スタート6位から挽回してきたのが、ディフェンディングチャンピオンのイーライ・トマック(カワサキ)。トップ集団の混戦をくぐり抜けた後、中盤からはムスキャンとのデッドヒートを展開した。ラスト2周にトマックが仕掛け、ムスキャン攻略に成功。ラスト1周に逆転を試みたムスキャンが転倒したため、トマックは独走でチェッカーを受けた。27秒差の2位にムスキャン、さらに17秒差の3位にバーシアと続いた。
450クラスのヒート2は、ボーグルの連続ホールショットで始まった。しかしトップの座は1周目からムスキャン、2周目にはトマックと入れ替わる。テールトゥノーズが続いたヒート1とは異なり、ヒート2ではトマックが序盤から驚異的なスパートを発揮。後続のムスキャンに対し、5周で12秒もの貯金を蓄えた。
完全に決着がついたかに見えたが、6周目にトマックが転倒を喫したため、ムスキャンの接近を許すことになる。さらに9周目に発生したトマックの2度目の転倒により、ムスキャンがトップに浮上。こうしてムスキャン、トマック、バーシアのトップスリーが確定した。オーバーオールではトマック(1位/2位)を破って、ムスキャン(2位/1位)が総合優勝を得た。