第3戦　コロラド州レイクウッド

サンダーバレー・モトクロスパークは、シリーズの中で最も標高が高いコースだ。ホームランが出やすい野球場のあるデンバー、スポーツの高地トレーニングに利用されるボールダーなど、近隣には空気の希薄な土地柄で知られる町がある。サンダーバレーにおける気圧の低さは、マシン性能とライダーの体調に影響を及ぼすため、主催者や各チームはハードとソフトの両面で対策を講じてきた。'08～'09年には炎天下でのガソリンの泡立ちを抑えるため、夕方から始まるナイター開催が試みられたこともあった。
　緩斜面に設けられたコースには平らな部分が皆無で、特にゲートから1コーナーに向かって登るアップヒルスタートは、サンダーバレーのシグネチャーとなっている。パワー勝負のタイムクオリファイでポールポジションを獲得したのは、450SX＝チェイス・セクストン（ホンダ）2分14秒509、250SX＝マイケル・モズマン（ガスガス）2分16秒916。排気量差が如実に表れる予選結果となった。
今回はタイムスケジュールに変更があり、予選から決勝まで450→250の順で実施された。450クラスのヒート1は、アントニオ・カイローリ（KTM）のホールショットで始まった。オープニング早々、ケン・ロクスン（ホンダ）が前に出ると、ジャスティン・バーシア（ガスガス）、ジェイソン・アンダーソン（カワサキ）もバトルに名乗りを上げ、カイローリは後続に飲み込まれていった。
　中盤にはロクスンがセーフティリードを築いていたが、10周目にイーライ・トマック（ヤマハ）が迫ると、スピード差が明らかになって次の周には逆転。トップに躍り出たトマックは、地元コロラド州出身らしく高地での強さを見せ付け、ヒート1のウィナーとなった。2位ロクスンの後には、アンダーソン、セクストンが続いた。
450クラスのヒート2では、カイローリがサクラメントから3ヒート連続のホールショットを決めた。ここでも早めに仕掛けたロクスンが、オープニングラップからリーダーとなり、圧倒的な独走態勢に持ち込む。4周目にはセクストンが、スタートの出遅れを挽回して2位に浮上した。
ハーフウェイポイントを過ぎる頃には1～2位の差が詰まり、ロクスンをかわしたセクストンが前に出た。後半はセクストンが主導権を握ったが、最終ラップで喫した転倒によりロクスンにトップの座を譲ってしまった。ロクスン、セクストン、トマックの順でチェッカーフラッグが振られ、ロクスンがオーバーオールウィナー（2位／1位）となった。3位（4位／2位）のセクストンは、シリーズランキング首位をキープしているが、ロクスンとの差は5ポイントに減少している。
Photo: MX Sports Pro Racing

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250クラスのヒート1では、リーバイ・キッチン（ヤマハ）がホールショットを取った。2位以下2周目のオーダーは、ジェット・ローレンス（ホンダ）、ジャスティン・クーパー（ヤマハ）、セス・ハメイカー（カワサキ）。序盤10分間、リーダーのキッチンは追撃を受けたが、体調を崩していたJ.ローレンスのアタックはやがて沈静化に向かう。
レース後半はキッチンの独走態勢が固まり、各々単独走行となったJ.ローレンス、クーパーを振り切ってチェッカー。キッチンはディフェンディングチャンピオンのJ.ローレンスに対し、9秒差のスタートトゥフィニッシュでキャリア初のモトウィンをゲットした。
250クラスのヒート2では、ハンター・ローレンス（ホンダ）がホールショットを決めた。背後にはクーパー、J.ローレンス、モズマンらが控えていたが、レースリーダーのマージンは徐々に広がっていった。2周目にはJ.ローレンスが2位に浮上し、1-2フォーメーションが出来上がる。ヒート1の勝者、キッチンはオープニングラップのクラッシュに巻き込まれ、11位からの追い上げを強いられた。
レース前半で主導権を握ったH.ローレンスは、J.ローレンスを従えてスタートトゥフィニッシュ。3位以下にはクーパー、モズマン、キッチンが続いた。オーバーオールではJ.ローレンスが優勝（2位／2位）。注目の下田丈（カワサキ）は、総合5位（7位／6位）だった。
Photo: MX Sports Pro Racing

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