アメリカ北東部のニューイングランド地方にはサンドコースが数多くあるが、マサチューセッツとコネチカットの州境に位置する、ザ・ウィック338(旧称モトクロス338)もその一つ。長い間ディープサンドの難関として一目を置かれてきたコースだが、近年は砂の流出により硬いベースが露出するようになってきた。昨年に続き今年も砂を運び込んで補修が行われたが、サンドコースに砂が必要になるとは奇妙な状況ではある。
いずれにしても、サウスウィック周辺にはサンドスペシャリストが多く、ホームアドバンテージがはっきりとしている。今大会はタイムスケジュールが通常とは異なり、TV中継に合わせて450クラスが先になった。自ずとタイムクオリファイの組み分けも、450-B、450-A、250-A、250-Bという順で実施される。路面状況が真っ平らな450-Bグループでは、地元のプライベートライダーが驚異的なタイムを出すことが多いが、今回はノルウェー人のGPライダー、コーネリアス・トーンデル(ホンダ)が、2分01秒550で暫定ポールポジションを得た。
全セッションを終えた最終的な予選順位は、450=2分01秒330=ジャスティン・クーパー(ヤマハ)、250=2分04秒748=ヘイドン・ディーガン(ヤマハ)。トーンデルの一発タイムは、450クラス予選総合3位となった。
450クラスのモト1(30分+2周)は、ジェット・ローレンス(ホンダ)のホールショットで始まった。ハンター・ローレンス(ホンダ)、アーロン・プレシンガー(KTM)、クーパー・ウェブ(ヤマハ)、ホルヘ・プラード(カワサキ)が続く。序盤から飛ばすJ・ローレンスが早々と独走態勢を築き、兄のH・ローレンスもプレシンガーを徐々に引き離していった。
やがて、ローレンス兄弟に大差を付けられた3位の座はプラードに替わったが、10周目の転倒で後退。こうしてJ・ローレンス、H・ローレンスが、各々単独でフィニッシュ。3位に入ったのは、スタート11位から挽回したイーライ・トマック(ヤマハ)だった。
450クラスのモト2では、J・ローレンスが連続ホールショットを決めた。プラード、トマック、H・ローレンスが続く。序盤はコースの荒れもあってペースが上がらず、トップグループは比較的僅差を保っていたが、ハーフウェイを過ぎる頃にはJ・ローレンスが抜け出し、H・ローレンスが2位に浮上。終盤は上位全員が大差となり、荒れたサンドコースらしい展開となった。
モト2もローレンス兄弟による1-2フィニッシュとなった。オーバーオールでは、J・ローレンスが完全優勝(1位/1位)。2位にH・ローレンス(2位/2位)、3位にはトマック(3位/3位)が入賞した。
Photo: MX Sports Pro Racing