レッドバッド・ナショナルは、全11戦が組まれたシリーズの第6戦となることが多いので、AMAプロモトクロスのセンターピースと呼ばれている。アメリカ独立記念日に合わせて、7月第1週に開催が固定されており、愛国心あふれる観客が集まる会場の雰囲気は独特だ。コースのインフィールドには特大の星条旗が掲げられているが、ライディングウエアやマシンのカスタムグラフィックにも、国旗をあしらった限定色が採用される。
今大会の話題としては、まずディフェンディングチャンピオンのチェイス・セクストン(KTM)が、開幕戦のクラッシュ以来となるカムバックを果たしたこと。そしてドゥカティのアメリカにおける実戦デビューが、アントニオ・カイローリによって実現したことが注目される。
クオリファイングセッションで最速だったのは、450=2分04秒021=ジェット・ローレンス(ホンダ)、250=2分08秒014=ライダー・ディフランセスコ(ガスガス)。この4秒差は、登り3連ジャンプ「ラロッコズ・リープ」を飛び越せるかどうか、そしてコース全周に及ぶワダチの選び方によって生じたものだった。
450クラスのモト1(30分+2周)は、ハンター・ローレンス(ホンダ)のホールショットで始まった。RJ・ハンプシャー(ハスクバーナ)をかわしたJ・ローレンスが、2位に浮上すると兄にプレッシャーをかけ、5周目にはレースリーダーに。ローレンス兄弟はそれぞれ単独走行となり、アーロン・プレシンガー(KTM)、イーライ・トマック(ヤマハ)を引き離していった。
プレシンガーを攻略したトマックは、中盤9周目まで3位を守っていたが、マシントラブルでリタイア。3位争いはプレシンガー対ハンプシャーによる接戦になったが、後半11周目にハンプシャーが前に出た。終盤はJ・ローレンスが独走を決め込み、H・ローレンスに16秒差をつけてフィニッシュした。
450クラスのモト2では、コーティ・ショック(ヤマハ)がホールショットを獲ったが、オープニングラップの半ばでホルヘ・プラード(カワサキ)が先頭に立った。モト1の勝者だったJ・ローレンスは、スタートの出遅れと転倒により1周目18位でコントロールラインを通過した。プラードは6周にわたりトップを走ったが、7周目にはジャスティン・クーパー(ヤマハ)がリーダーになった。
ハーフウェイポイントの段階で、J・ローレンスは驚異的な追い上げにより3位に達していた。9周目にプラードをかわすと、11周目にはクーパーも攻略してトップに躍り出る。こうして17人抜きを遂げたJ・ローレンスが、パーフェクトウィン(1位/1位)を手中に収めた。兄のH・ローレンスが総合2位(2位/3位)、そしてクーパーが3位(4位/2位)となりポディアムに登壇。セクストンは5位(5位/4位)、カイローリは14位(9位/39位)だった。
Photo: MX Sports Pro Racing