前戦ワシューガル以来3週間ぶりに再開され、ラスト3戦に突入したAMAプロモトクロス。通常の日程ではユナディラが皮切りとなるのだが、今季はクロフォーズビルのアイアンマン・レースウェイに変更された。この前倒しの理由は、当地で10月3~5日に開催されるモトクロス・オブ・ネイションズ(MXoN=国対抗団体戦)に対応したものだ。
窪地を利用して巧みにレイアウトされたコースには、周辺の平坦な地形からは想像できないほどのアップダウンがある。ビッグジャンプのゴジラや、フージアホール(インディア州の落とし穴)など、名物セクションには高低差にちなんだニックネームが付けられている。昨年はコースレイアウトがドラスティックに見直され、スターティングゲートの移設によって、1コーナーが従来の右90度から左180度へと変更。さらに林の中を巡るウッズセクションが追加された。今年はその林間パートがさらに充実した一方、終盤の勝負どころだったスイッチバックが廃止され、ストレート主体の高速パートに生まれ変わった。
タイムクオリファイでポールポジションを獲得したのは、450=2分01秒059=ジェット・ローレンス(ホンダ)、250=2分03秒447=セス・ハメイカー(カワサキ)。MXoNに備えたリニューアルにより、ウッズセクションの追加分をフィニッシュ前の短縮で調整し、程良い長さのコースになった。
450クラスのモト1(30分+2周)は、イーライ・トマック(ヤマハ)のホールショットで始まった。ハンター・ローレンス(ホンダ)、ジャスティン・クーパー(ヤマハ)、コーティ・ショック(ヤマハ)を含めたトップグループに、スタートに失敗したJ・ローレンスがいない。クラッチミートのタイミングを誤り、ゲートを乗り越えてしまったJ・ローレンスは、1周目のコントロールラインを21位でクリアした。前戦ウィナーのチェイス・セクストン(KTM)も、オープニングラップの転倒によって9位に下がり、波乱含みの展開となった。
6周目からは、トマックをかわしたH・ローレンスがレースをリードした。終盤になると猛然と這い上がってきたセクストンとJ・ローレンスが追い付き、トップスリーを形成する。三つ巴の争いになりかけたラスト3周、H・ローレンスのミスに乗じてセクストンがトップに浮上。ローレンス兄弟を振り切ったセクストンが、モト1の勝者となった。3位でフィニッシュしたJ・ローレンスは、スターティングゲートに衝突した件でペナルティを受け、1周減算による17位に甘んじた。
450クラスのモト2では、リーダーがトマック、H・ローレンスと入れ替わったが、2周目からはJ・ローレンスがトップを快走した。スタート11位から挽回してきたセクストンは、3位に到達した直後の6周目に転倒リタイア。上位はJ・ローレンス、トマック、H・ローレンス、そしてRJ・ハンプシャー(ハスクバーナ)という顔ぶれに落ち着いた。その後ラスト3周の大詰めで、トマックがストールして3位に後退。トップチェッカーを受けたJ・ローレンスに、6秒差でH・ローレンスが続いた。
オーバーオールでは、H・ローレンスが450プロモトクロス初優勝(2位/2位)。ハンプシャーが2位(3位/4位)、トマックが3位(6位/3位)に登壇。J・ローレンスが6位(17位/1位)にとどまる、意外な総合結果となった。
Photo: MX Sports Pro Racing