DUNLOP Racing Team with YAHAGI インサイドストーリー14
「2026シーズン開幕」 チーフエンジニア 藤沢裕一さんインタビュー


オフシーズンの歩み

昨年最終戦以降、2026年の開幕前までの開発の流れを振り返っていただけますか。

昨年の最終戦が雨だったこともあり、1年の総括としてドライタイヤの確認ができる状況ではありませんでした。
そこで改めて課題を洗い出し、今年1月のマレーシア・セパンテストに開発用タイヤを持ち込みました。セパンではさまざまな方向性を見出すことができ、非常に有意義なテストになりました。路面温度が40〜50度という高温下でテストでき、一定の感触を得られたのは大きな収穫でした。当然、そこで持ち込んだタイヤが今年の開発のベースになるはずです。
国内テストはもてぎで行いました。路面改修という新たな条件はありましたが、悪い方向には進まず、手応えを得られました」



2026シーズンに向けたテストは順調だったのですね。

「想定から大きく外れることはありませんでした。そして迎えた開幕戦『もてぎ2&4』では、スーパーフォーミュラ走行後の“タイヤラバー”の載り方が懸念材料でした。ただ、昨年の実績から大きな影響はないだろうと予測して進め、実際に問題はありませんでした。
さらに今回は雨の影響もありましたが、昨年最終戦で悔しい思いをした開発陣が、次バージョンのレインタイヤを準備してくれていました。その確認もできていましたし、チームとしてはドライでもウェットでも、昨年より確実にアベレージを上げた状態で戦えるという明確なイメージを持って準備できていました」


開幕戦で2位表彰台を獲得

レースウイークに入っても、好調さを維持している印象でした。

「開幕戦ということで、他チームのタイムの上がり方が想定より鈍い印象を受ける中、自分たちはライダーのコンディションを含め、より高い位置にいることが走り出しの段階で分かっていました。その強みを最大限に活かすレースをしたいと考えていました。
決勝では想定よりタイムが落ちましたが、それでも序盤にトップ争いができ、予選でフロントロウに並べたことも大きかったですね。目標タイムについても、昨年は一発しか出せなかったレベルのタイムを、今はある程度アベレージとして刻めるようになっています。レースを戦う準備はかなり整ってきたと感じています。
結果は2位でしたが、中須賀選手(YAMAHA)が戦列を離れたのは想定外でした。もっと厳しい展開を予想していましたが、序盤で単独走行に持ち込めたことで、後半も大きくタイムを落とさず、アベレージを立て直すようなレース運びができたのは良かったです。バトル自体はありませんでしたが、冬場から取り組んできたことの“答え合わせ”はできたと思います」


タイヤ開発の進捗

フロントタイヤのサイズが大きくなった点はいかがでしょうか。

「以前から技術陣には、リアタイヤの性能が着実に向上している一方で、フロントの仕事量を増やすためのサイズ変更を希望していました。それをセパンテストから投入しており、今回の結果にも大きく貢献してくれました。次世代タイヤへ進化していく上でも、このサイズ変更は大きな意味を持ちます。もてぎはブレーキングコースで、フロントブレーキを強く握る場面が多い。他のコースでも制動力に物足りなさを感じる部分がありましたが、今回の変更で強みを発揮できるようになり、リアをサポートすることで前後バランスも取れるようになりました。これも大きな収穫です」


今後、気温が上がっていきますが、その対応は?

「セパンで試したタイヤは当然高温設定なので、路面温度がさらに上がっても対応できることは確認済みです。ただ、こうした戦いを続ける中で、必然的にライバル勢とのバトルになります。そうなるとタイヤの使い方が大きく変わり、想定外の展開を強いられることもあるでしょう。レース展開によっては苦しい場面も出てくると考えています。
そこに対してダンロップとどう準備していけるかが、今後チャンピオンを獲るために必要な要素であり、どれだけ踏ん張れるかが大きなポイントになるでしょう。今回のように単独走行であればコントロールできますが、相手がいて自分たちのペースで走れない時にどうまとめるか。それが第2戦以降の課題になります」


プロジェクトのキーワードに「高いコーナリングスピード」がありましたね。

「それは継続して追求していますし、実際にレースでも強みを感じています。ただ、実戦という条件下では、それだけに特化しているとライバル勢との走りの差も出てきますし、現場での勝ち負けという基準で見ると、まだ足りない部分があるのも事実です。
“高いコーナリングスピード”は、ライバルより速いタイムで走って初めて成り立つものです。まずはライバルと互角に戦い、その上でさらなる強みとして深掘りしていかなければ意味がありません。そのレベルに達して初めて、真価が問われるのだと思っています」


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