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鈴鹿8時間耐久ロードレース第41回大会
GMT94 YAMAHAが、2017-2018 総合ランキング2位を獲得 Team KAGAYAMA U.S.A.は11位でゴール
●予選
Team KAGAYAMA U.S.A.は予選13位からスタート
真夏の風物詩になっている鈴鹿8時間耐久ロードレース。前の週まで厳しい暑さが続いていたが、開幕前から台風12号の影響が予想されていた。悪天候が心配される中で開幕した。
Team KAGAYAMA(スズキ)は、加賀山就臣選手、浦本修充選手に加え、世界選手権のMoto2クラスに参戦する19歳のアメリカン・ライダー、J・ロバーツ選手がエントリー。監督に、往年の世界GPチャンピオン、ケヴィン・シュワンツを迎えて、“Team KAGAYAMA U.S.A.”として参戦した。
また、昨年の世界耐久選手権チャンピオンで、ランキング2位につけるのは、D・チェカ選手、N・カネパ選手、M・デ・メグリオ選手のGMT94 YAMAHA。ランキング・トップのJ・フック選手、F・フォレイ選手、A・テシェ選手のF.C.C. TSR Honda Franceに10点差となっていた。鈴鹿8耐はシリーズ最終戦ということで、逆転でタイトル獲得を狙っていた。
また、世界耐久選手権でランキング3位につけるHONDA ENDURANCE RACINGは、E・ニゴン選手、S・ギンバート選手、Y・フェルナンデス選手。耐久のスペシャリスト、SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは、V・フィリップ選手、E・マッソン選手、G・ブラック選手がエントリーした。
エヴァRT初号機Webike TRICKSTARは、A・ウエスト選手、出口修選手、M・ギネス選手が参戦した。
今年は、全エントラント64チーム中、23チームがダンロップを使用した。
金曜日の公式予選は晴天の中で行われた。3人のライダーの平均タイムでグリッド順が決められ、#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は13位。土曜日に行われる上位10位によるトップ10トライアル進出を逃した。
#94 GMT94 YAMAHAは14位、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは17位、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは18位、#10 エヴァRT初号機Webike TRICKSTARは22位につけて、8耐本番に臨むことになった。
●予選後のコメント
予選13位 Team KAGAYAMA U.S.A.
加賀山就臣選手
「朝のフリー走行で試したタイヤがよくて、それで予選も行こうということになった。それが午後になって温度が変化して思ったように機能しなくて、それまで出していたタイムもでなかった。僕の選択ミスだったので残念です。それがうまくいけば、3人ともぱっとタイムは上がるはずだった。トップ10トライアルにでられなくて残念です。決勝に関しては、10位でも13位でもあまり差はない。荒れたコンディションは我々は得意なので、追い上げていきたいと思います」
J・ロバーツ選手
「鈴鹿サーキットはとても歴史のあるサーキットでビデオを見て知っていた。今回8耐に参戦できてとてもうれしい。マシンもとても調子がよくて、ライディングを楽しんでいる。僕はどんなコンディションでも走れるから大丈夫。チームはとてもフレンドリーで雰囲気は最高です。それに、シュワンツ監督もサポートしてくれる。彼はレジェンドだからとても信じられない気持ちです。初の8耐決勝なので、慌てないようにがんばります」
浦本修充選手
「予選ではタイムを上げられなかったので、本番ではチームに貢献できるようにがんばりたい。天候が崩れれば、チャンスはでてくると思う。天気はあまり心配していない。雨のテストもしっかりしているので、どっちになっても大丈夫です」
K・シュワンツ監督
「Team KAGAYAMAによんでいただいて、とてもうれしく思っています。ライダーはみんな安定したライディングをしているので、決勝がとても楽しみです。今回は、特にロバーツ選手にアドバイスをしている。タイヤについては耐久の走り方について。彼は初めてなので、いろいろサポートしています」
●レース序盤
Team KAGAYAMA U.S.A.のロバーツ選手が転倒
台風12号は夜中に紀伊半島を通過したが、決勝当日も朝から強風が吹き、不安定な天候が続いた。一旦、青空が見えたが、スタート直前になると雨が降り始めてしまう。
11時30分、雨と強風の中で8耐はスタートした。
#71 Team KAGAYAMA U.S.A.のスタートライダーを務める加賀山選手は序盤から7番手と好位置につける。
4周目になると加賀山選手は、#95 S-PULSE DREAM RACING IAIの渡辺一樹選手、#72 Honda Dream RT桜井ホンダの濱原颯道選手を抜き去ると5位に浮上する。
雨は上がり、徐々に路面は乾いていく中、加賀山選手は5番手につけて、ロバーツ選手に交代。8耐初出場のロバーツ選手は、ハイペースで走行を続けていく。
ところが、12時47分、ロバーツ選手が33周目にムサシ・シケインで転倒してピットに戻る。マシンのダメージはほとんどなく、浦本選手が約4分後にコースへと向かったが、35位へと大きく順位を落としてしまった。
序盤2時間が経過したころ、#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は19位に順位アップ。また、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは10位、#94 GMT94 YAMAHAは11位、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは14位と、順調な滑り出しを見せる。
一方、#10 エヴァRT初号機Webike TRICKSTARは出口選手が午後1時32分、52周目の最終コーナーで転倒してしまった。
●レース中盤
セーフティ・カーが3回入る波乱の展開
午後2時前には、ヘアピンで転倒車から火が出たためにセーフティカーが入る。レースは12分後に再スタートした。
#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は、加賀山選手が難しい局面で順位を16位に上げる。
また、#94 GMT94 YAMAHAは耐久のスペシャリストらしい戦いぶりで10位へと順位を上げていく。#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは11位、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは13位につける。
レース中盤、天候も安定し膠着状態となる。#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は14位に挽回して、粘り強い走りを見せていく。転倒でケガが心配されたロバーツ選手も足を引きずりながら2度目の走行に臨んだ。
午後4時を過ぎたころ、また小雨が降り始める。デグナー・カーブで転倒車が発生すると2度目のセーフティー・カーが入る。スロー走行しているときに、ストレートや最終コーナーでクラッシュが発生。さらに、強い雨が降り始めたため、セーフティー・カーの走行時間は延長される。
約40分にわたるスロー走行の後、レースは再スタート。小雨が降るウェット・コンディションだが、青空も覗く異例の悪天候となる。
#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は、この間に加賀山選手が走行を開始した。
そして、午後5時10分、バック・ストレートにオイルがでたためにまたセーフティ・カーが入る。
3度もセーフティ・カーが入るという異例の8耐は、不穏な展開のまま終盤へと向かった。
●レース終盤
GMT94 YAMAHAは追い上げて6位入賞
Team KAGAYAMA U.S.A.は11位に入る
午後5時42分にレースは再スタートされる。
悪コンディションでクラッシュが相次ぎ、4位につけていた#090 auテルルMotoUP RT(HONDA)の秋吉耕佑選手も転倒している。
このアクシデントで、ミスのない走りを続けていた#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は13位に上がる。
また、#94 GMT94 YAMAHAは8位、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは10位、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは11位につけて、ゴールを目指す。
#94 GMT94 YAMAHAは終盤に向けてさらに追い上げを披露していく。残り1時間というところでライバルである#5 F.C.C. TSR Honda Franceの後方にぴたりとつけ、抜き去ると5位に順位アップ。その後も、#5 F.C.C. TSR Honda Franceと5位争いを展開していく。
午後6時40分になるとライト・オン・ボードが出されて、場内は少しずつ暗くなっていく。
#71 Team KAGAYAMA U.S.A.は、午後7時ころに最後のピットインを行い、浦本選手からアンカーを務めるロバーツ選手へと代わりコースへと向かった。
転倒で右足を負傷していたが、ロバーツ選手は初の夜間走行でアグレッシブな走りを見せていく。
午後7時半、チェッカーが出される。台風に翻弄された波乱の8耐は幕を閉じた。
着実な耐久のスペシャリストらしい戦いぶりで、#94 GMT94 YAMAHAは、#5 F.C.C. TSR Honda Franceについで6位でチェッカー。2017-2018世界耐久選手権ランキング2位を獲得した。
また、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは9位に入り、ランキング3位となった。
序盤の転倒で順位を大きく落とした#71 Team KAGAYAMA U.S.A.だったが、見事な挽回を見せると11位でゴールした。
また、序盤に転倒していた#10 エヴァRT初号機Webike TRICKSTARは、最後にコースに戻りチェッカーを受けた。しかし、周回数不足のため完走扱いにはならなかった。
●決勝後のコメント
〇6位 世界耐久選手権ランキング2位
No.94 GMT94 YAMAHA
D・チェカ選手
「過去2シーズン、僕たちのチームは世界耐久選手権でとてもいい戦いをして、2016年にはランキング2位、2016-2017シーズンはチャンピオンを獲得した。2017-2018シーズンももちろんチャンピオン獲得をめざしたが、鈴鹿8耐の結果により、ランキング2位という残念な結果に終わった。これがレースです。来シーズンがどうなるかはまだわからないが、チーム・メイトとともにベストを尽くしたい」
N・カネパ選手
「僕のレース・キャリアの中でもベストなシーズンになった。今季はちょっと不運があったが、チームとしてベストを尽くしたので悔いはないです。チームのメンバーとしてともに戦った経験は僕にとってすばらしいものになった」
M・デ・メグリオ選手
「いいレースができた。路面コンディションがめまぐるしく変わってとてもタフだったよ。僕たちはチャンピオンを獲得すべく全力を尽くしたが、ルマン24時間でのクラッシュが響き、結局ランキング2位でシーズンを終えた。残念ですが、各レースでポイントをリカバリーできたので、内容としては満足です」
〇9位 世界耐久選手権ランキング3位
HONDA ENDURANCE RACING
E・ニゴン選手
「シーズンを総合3位で終えられて、最高の気分です。レースごとに成長し、表彰台も経験して、タイトル争いに絡むことができた。昨季に比べてもとてもいい結果を残せた。今日のレースはとても難しかった。今日はいい戦い方ができて、鈴鹿8耐という厳しいレースでトップ10に入れた」
S・ギンバート選手
「コンディションはとても厳しく、雨の中をスリック・タイヤで走る場面もあって、周りで多くのマシンが転倒するのを目にした。しかし、幸運にも僕は走り続けることができた。ここ鈴鹿でいい結果が残せて、チャンピオンシップを好成績で終えられたことをうれしく思う」
Y・フェルナンデス選手
「結果と、ケガなく完走することができたことをとてもうれしく思う。天候の影響で多くの転倒があった。スタート・ライダーを務めたので、少し緊張したが、いいスタートが切れてポジションを大幅に上げることができた。トップ10フィニッシュを果たすためにがんばったので、結果が出てよかった」
〇11位 Team KAGAYAMA U.S.A.
加賀山就臣選手
「ロバーツ選手もがんばってくれていて、もっとタイムも上がりそうだった。あのミスがなかったら、4位、5位は狙えてたと思うので、本当に残念です。でも、これがレース。彼もブーツが破けてケガしてしまったけど、その後も走ってくれた。あの後ミーティングして、最後まで追い上げようということで、どうにか11位には入りました。全体的にはいいアベレージはでていたと思うので本当に残念です。でも、ウェットでもポテンシャルを見せることができたし、ドライでもいい走りを見せられたと思います」
浦本修充選手
「悔しい結果でしたが、完走できたことはよかった。僕の走行のときは、ドライだったのでラッキーでした。今回、自分の中でみつけられる部分があったので、今後のレース活動に生かしていきたい。スペイン選手権のレースにあと2戦でる予定なので、がんばります」
J・ロバーツ選手
「ほとんどドライだったが、ウェット・パッチにのってフロントから転んでしまった。足がマシンの下側に入ってしまってケガしたけど、その後も2回走れたので大丈夫です。今回は天候の変化が激しくて、今までで一番難しいレースだったと思う。今回はとても素晴らしい経験ができました。鈴鹿の雰囲気は最高ですね。チームも素晴らしかった。また来年もでたいです」
K・シュワンツ監督
「ミスがでてしまったことは、残念で悔しいけど、それもレースだからね。Team KAGAYAMA U.S.A.は、いいパフォーマンスを見せることができたと思う。とにかく、ベストを尽くすことはできた。ロバーツ選手もミスはあったけど、よく走ったと思う。このレースは世界トップ・レベルの戦いだから、簡単ではないんだ。監督は初めてだったけど、ピットの中でいろいろやることが多くて、自分で乗るほうが楽だね。また機会があったら、挑戦したいね」
〇12位 世界耐久選手権ランキング6位
SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM
V・フィリップ選手
「予想出来ないことがあるのが耐久レース。ただ、これまでなかなかマシンの良いところを引き出せなかったのが、やっとまとまってきて自信をもって攻めることができるようになってきた。今年のチャンピオンシップは良い成績が出せなかったけど、来年はトップ争いを常にしたい」
E・マッソン選手
「タフなレースだった。ドライではコンスタントに良いラップ・タイムで走れたんだけど、ウェットでは良いフィーリングが得られなかった。それからセーフティー・カーの入るタイミングが悪くて、大きくタイム・ロスをしてしまった。でもこれもレースさ。マシンのいいパフォーマンスを引き出すことができたことは、よかった」
G・ブラック選手
「天候が目まぐるしく変わって難しいレースだった。そのなかではコンスタントに良いラップ・タイムで走れたんだ。でも、セーフティー・カーの入るタイミングとピット・インが重なってしまって、そこで大きくタイムを落としてしまった。でも、バイクは鈴鹿で大きく進化した。今年のチャンピオンシップは終わってしまったけど、来年に向けて良いフィーリングをつかめたよ」