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予選

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは不運のリタイア。TS SUZUKI BLUE MAXはトラブルに泣く

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台風が近づく中、ドライで行われた予選

真夏の祭典、鈴鹿8時間耐久ロードレースが、今年も世界耐久選手権の最終戦として開催された。
今シーズン、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMのV・フィリップ選手、E・マッソン選手、G・ブラック選手のチームは、ランキング2位につける。首位の#11 TEAM SRC KAWASAKI Franceとの差はわずかに5点。2016年以来16回目のタイトル獲得を目指して鈴鹿に臨んだ。
さらに、#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES(YAHAMA)のF・アルト選手、F・マリノ選手、X・シメオン選手、#111 HONDA ENDURANCE RACINGのR・デュプニエ選手、Y・フェルナンデス選手、S・ギンバート選手などがダンロップ・ユーザーとして参戦した。  

全日本選手権からは、TS SUZUKI BLUE MAX(SUZUKI)が津田拓也選手と、アジア選手権のチャンピオン、Moto2世界選手権や鈴鹿8耐の参戦経験のあるマレーシアのスター、A・シャー・カマルザマン選手、フランス人の耐久ライダー、G・ルブラン選手がエントリー。
また、市販車に近いマシンで参戦するSSTクラスに、RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCEの中冨伸一選手、タイ人ライダーのR・ウィライロー選手、A・ウォンタナノン選手が参戦した。

今年も、台風の進路を気にしながらの大会となった。発達した低気圧が水曜日に台風になり、紀伊半島~東海地方に向けて北上。天候が心配されるなか、金曜日の予選まではドライ・コンディションで行われた。
ダンロップ勢は、#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESは13番手、#71 TS SUZUKI BLUE MAXは15位、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは17位、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは21位、#99 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCEは26位で、SSTクラス3番手につけた。
そして、金曜日の夜間走行が始まると雨が降り始め、土曜日はほぼ1日雨。予定されていたフリー走行は豪雨のためにキャンセルとなった。

コメント

予選13位  
X・シメオン選手 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES
「初めての鈴鹿サーキットを楽しんでいるよ。ダンロップ勢のトップ・タイムを出せたからとてもうれしい。僕らはプライベート・チームだから、ファクトリー勢と戦うのは大変だけど、ミスなく走ればトップ10には入れると思う」

予選15位  
津田拓也選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「今年は先に使用するタイヤを決めて、それに合わせてマシンのセッティングをしています。予選ではもう少しタイムを詰められると思ったが、思ったよりも気温が高くなってしまい難しかった。レースの作戦はこれから考えます。天気は分わからないので、状況に合わせて作戦を柔軟に変えていきます。トップ10入りを目指してがんばります」

A・シャー・カマルザマン選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「まだ2日間しか今回のマシンに乗っていないから、けっこう大変です。でもセッティングはだんだんよくなっている。8耐は4回目だけど、大好きなレースです。完走できるようにがんばります」

G・ルブラン選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「耐久レースの経験はたくさんあるし、鈴鹿8耐にも何度もでているけど、今回のスズキのマシンと、日本のダンロップ・タイヤも初めて、ほとんどぶっつけ本番です。それでもけっこう走れていると思う。明日はミスなくトップ10を狙います」

予選17位  
E・マッソン選手 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM
「予選では、期待したようなタイムはでなかった。でも、決勝に向けての準備はできているし、ライダーたちはコンスタントに走れている。明日はトップ10フィニッシュしたいです」

予選26位  
中冨伸一選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「8耐は13年ぶりです。若い2人にセッティングを作ってもらって、僕は彼らに合わせて乗っています。明日は、ロング・ライフのタイヤを使って、ピット・イン2回に1回タイヤ交換する作戦でいきます。SSTクラスで表彰台に上がれるようにがんばります」

A・ウォンタナノン選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「初めての8耐なので、少し緊張している。予選ではけっこうよく走れたと思う。長いレースなので体力も考えて走り切りたいです」

R・ウィライロー選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「今日は良く走れたと思う。もっとタイムを出したかったけど、クリア・ラップがうまくとれなかった。8耐は今回で3回目で、大好きなレースです。チームで走るので楽しいレースだと思う。明日はSSTクラスの表彰台に上りたいです」


決勝

<レース前半>

SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが逆転タイトルを目指して快走

11時半、ドライ・コンディションで2019年の8耐はスタートした。
#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMのブラック選手、#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESのシメオン選手は好スタートを切り、11位、12位につける。
#71 TS SUZUKI BLUE MAXのカマルザマン選手は24位。#111 HONDA ENDURANCE RACINGはフェルナンデス選手が5周目にシケインで転倒し、再スタートして25位につける。

一方、#99 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENURANCEはウォンタナノン選手がスタート・ライダーをつとめ、28位につけていたが、燃料系トラブルがでてしまい一旦ピット・イン。再スタートするも59位に順位を下げてしまう。
11時55分、アクシデントが起きるとセーフティカーが入り、13分後に再スタート。その直後に、#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESのシメオン選手が転倒。これで#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESは大きく後退してしまう。

序盤の混乱に巻き込まれず、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは、マッソン選手、ヴァンサン選手とバトンをつなぎながら9位につけていく。
ライバルの#11 TEAM SRC KAWASAKI Franceは15位。このままだと、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが逆転タイトルを獲得する。
実はSUZUKI ENDURANCE RACING TEAMのドミニク・メリアン監督は今回の鈴鹿8耐を最後に引退することを表明し、決勝前に引退をねぎらうセレモニーを開催していた。
ライダーたちは、監督の引退レースでタイトル獲得するために懸命のライディングを続けていた。
ライバルの#11 TEAM SRC KAWASAKI Franceは中盤の午後3時前にシケインで転倒し、16位にまで順位ダウン。#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMはミスなく走り続け、9位をキープしていく。

また、#111 HONDA ENDURANCE RACINGは12位、#71 TS SUZUKI BLUE MAXは24位、#99 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENURANCEは50位、#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESはマシンを修復して再スタート。懸命の追い上げを見せると、4時間を経過した午後3時半には、47位に順位を上げている。

<レース後半>

まさかの結末。SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMはリタイアに終わる

スタートから4時間を経過して後半に入ると、レースは膠着状態。気温31度と厳しい暑さの中、終盤へと向かっていく。
#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは安定したライディングで9位をキープ。
#111 HONDA ENDURANCE RACINGは13位につけていたが、5時15分頃にマシンに異常を感じてピット・イン。マシン・チェックした後にコースに戻るが、14位に後退する。
#71 TS SUZUKI BLUE MAXは22位。序盤にトラブルがあった#99 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENURANCEは34位まで挽回。#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESは52位につける。

少しずつ日が陰り始めた6時すぎ、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMは9位につけ、ライバルの#11 TEAM SRC KAWASAKI Franceは14位。このままゴールすれば、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMが逆転し、世界タイトルを獲得することになる。

午後7時15分、#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMはピットに入り、マッソン選手が逆転タイトルへ向けて最後の走行へ向かう。
ところが、7時24分、わずかにゴール6分前で#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMのマシンから煙が噴き出し、エンジン・ブロー。コース・サイドでマッソン選手がうなだれるシーンがモニターに映される。#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMのタイトル獲得の夢はここでついえた。
そして、ゴール直前、チェッカーを目指していたトップの#10 Kawasaki Racing Team Suzuka 8Hが転倒。午後7時半を迎える2分前に赤旗が出されてレース終了という波乱の幕切れとなった。

トラブルを乗り越えて最後まで走り続けた#111 HONDA ENDURANCE RACINGは13位、#71 TS SUZUKI BLUE MAXは21位となる。
#99 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENURANCEは総合31位、SSTクラス5位。
#333 VRD IGOL PIERRET EXPERIENCESは46位となった。
#2 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAMはリタイアとなったが、総合ランキング3位で2018-2019年シーズンを終えた。

コメント

13位 HONDA ENDURANCE RACING  
R・デュプニエ選手
「決勝に向けてセッティングを大幅に変え、マシンは少しよくなりペースもはるかによくなった。フェルナンデス選手のクラッシュや技術的な問題がなければ、トップ10入りも可能だったと思う。フェルナンデス選手の転倒はレースなので仕方ないと思う。私も過去にクラッシュしているし、いつでも起こりえること。チームも、ライダーも、クルーも、本当にいい仕事をしたと思う」

21位 津田拓也選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「今朝のフリー走行で、レース用マシンにトラブルがでた。マシンが振られてしまって手が痛かったので、急きょカマルザマン選手がスタートを務め、作戦を変更した。セカンド・マシンで出走することになったので、思ったようなタイムを出すことができなかった。残念な結果だったが、なんとか完走できたことはよかった。カマルザマン選手、ルブラン選手とも最後までがんばってくれた」

A・シャー・カマルザマン選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「今日はいきなりスタート・ライダーになったので、最初はけっこう大変だった。全力を尽くして追い上げていった。目標を達成できなかったのは残念だったが、この8耐の経験を今後のレースに活かしたいと思う」

G・ルブラン選手 TS SUZUKI BLUE MAX
「作戦変更して臨んだので、大変な部分もあったが、自分なりには走れたと思う。セカンド・マシンに乗ったので難しかったが、少しずつ慣れていった。今回は8耐に参戦できるチャンスをいただき、感謝しています」

31位 中冨伸一選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「最初に燃料系のトラブルがあって、順位を落としてしまった。それから、ウォンタナノン選手が脱水症状になったので、作戦を変えて僕の走行を増やした。久しぶりの8耐だったので体力的に大変でした。結果には満足できませんでしたが、完走できたことはよかったと思います」

A・ウォンタナノン選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「スタート・ライダーだったので緊張した。初めての8耐だったので、途中、少し体調が悪くなって大変だった。トラブルがあって順位を下げてしまったが、最後まで追い上げたし、ベストを尽くした。また参戦したいです」

R・ウィライロー選手 RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE
「タフなレースだったけど、全力を尽くしました。最後までみんなで追い上げることはできたので、よかった。自分の走りは悪くなかったと思う。大きなレースで走って、いい経験になりました」

46位 X・シメオン VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES
「序盤にミスしてしまって、本当に残念な結果に終わってしまった。最初はいいペースで走っていたので、ミスが悔やまれます。初めて鈴鹿8耐にでられたことはよかった。また来年も参戦したいです」

リタイア E・マッソン選手 SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM
「悔しくて、残念で今の気持ちを表す言葉がみつからない。完走まで残り2周というところで、マシンが止まってしまった。この2年間、チームと一緒に厳しい時もいい時もがんばってきた。だから、今回はリタイアに終わってしまったが、ずっとやってきたことに誇りを持っている。諦めずにこれからもがんばっていきたい」


決勝Result

順位 ライダー チーム メーカー 周回数 タイム
優勝 J・レイ / L・ハスラム/T・ラズガットリオグル Kawasaki Racing Team Suzuka 8H KAWASAKI 216 7:55'36.613
2 中須賀克行 / A・ローズ / M・バン・デル・マーク YAMAHA FACTORY RACING TEAM YAMAHA 216 7:55'55.333
3 高橋巧 /清成龍一 /S・ブラドル Red Bull Honda HONDA 216 7:56'43.340
13 R・デュプニエ/Y・フェルナンデス/S・ギンバート HONDA ENDURANCE RACING HONDA 209 7:57'32.889 Dunlop ユーザー
21 津田拓也/A・シャー・カマルザマン/G・ルブラン TS SUZUKI BLUE MAX SUZUKI 206 7:56'02.573 Dunlop ユーザー
31 中冨伸一、R・ウィライロー、A・ウォンタナノン RCKOSHIEN YAMAHA ASIAN ENDURANCE YAMAHA 198 7:57'17.298 Dunlop ユーザー
46 F・アルト/F・マリノ/X・シメオン VRD IGOL PIERRET EXPERIENCES YAMAHA 184 7:42'10.861 Dunlop ユーザー
リタイア V・フィリップ/E・マッソン/G・ブラック SUZUKI ENDURANCE RACING TEAM SUZUKI 210 7:54'09.152 Dunlop ユーザー

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