2026FIM世界耐久選手権第3戦 “コカ・コーラ”鈴鹿8時間耐久ロードレース第47回大会(以下、鈴鹿8耐)は、近年の酷暑を考慮して、例年より1か月早い7月3日(金)に開幕した。
ダンロップのワンメイクで行われているスーパーストック・クラス(以下、SSTクラス)は、改造範囲の狭い、市販車に近いマシンでの戦いとなる。
同クラスに、全日本JSB1000クラスに参戦中の長島哲太選手が、元世界GP250ccクラス王者の原田哲也監督率いるNCXX RACING with RIDERS CLUB(HONDA)でエントリー。チームメイトに全日本選手権ST1000クラスに参戦している亀井雄大選手、全日本選手権ST600に参戦している伊達悠太選手を迎えた。
また、昨年の8耐でSSTクラス優勝を決めたTeam Etoile(BMW)は、大久保光選手、伊藤元治選手に、元Moto3ライダーの鳥羽海渡選手が加わりフル参戦している。
昨年、SSTクラス2位を獲得したTONE Team4413 BMWは、ベテランの星野知也選手、ハンガリー人のM・サマド選手、全日本選手権ST600に参戦している長尾健吾選手の3人で参戦している。
JSB1000クラスと近いレギュレーションで行われているフォーミュラEWCクラス(以下、EWCクラス)のダンロップユーザーは、ドイツのチーム、ERC Endurance#6(BMW)。ライダーは、MotoGPのMoto2クラスに参戦経験のあるドイツ人のM・シュロッター選手、J-O・イエーニヒ選手に、ベテランのフランス人耐久ライダー、K・フォレイ選手の3人でエントリー。今年のルマン24時間で4位入賞を果たしている。
【SSTクラス】
レース前半:セーフティ・カーが2度入る波乱の展開
決勝当日、朝から雨が降っていたが、スタートを迎えたころには雨は止んでいた。路面はウェット。レイン・タイヤで、全50チームがスタートした。
スタート直後、SSTクラストップに立ったのは#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Honda(石塚健選手、D・ポンセ選手、K・マンフレディ選手)。予選5番手からスタートし、マンフレディ選手がまず先頭に出る。後ろから#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBの長島選手、#36 3ART Best of Bike Hamaguchi(YAMAHA、L・マヒアス選手、L・アーベル選手、R・ムルハウザー選手)のアーベル選手、#25 Team Etoileの鳥羽選手、#93 TONE Team4413 BMWの星野選手と続く。
5周目に、長島選手がトップに浮上し、すぐに引き離しにかかる。#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Hondaのマンフレディ選手と、#36 3ART Best of Bike Hamaguchiのアーベル選手が2位争いを演じていく。4番手#93 TONE Team4413 BMW、5番手#25 Team Etoileと続く。
#36 3ART Best of Bike Hamaguchiのアーベル選手は130Rコーナーで転倒し、ピットへ戻る。4番手につけていた#93 TONE Team4413 BMWの星野選手もシケインで転倒してしまう。
転倒車が続出したため、12時5分にセーフティ・カーが入る。12時半頃になると、強い雨が降り始める厳しいコンディションが続く。
12時39分、再スタート。トップに#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Honda上がり、 #52 NCXX RACING with RIDERS CLUBは2位、 #25 Team Etoileが3番手となる。
13時5分にまたセーフティ・カーが介入。#25 Team Etoileはライダー交代のためピットに入っていたタイミングでセーフティ・カーが入ったため、ピット・アウトできず順位ダウンしてしまう。
トップは#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Honda、2位に#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBが続き僅差のトップ争いを繰り広げていく。
少し離れて、3位にWojcik Racing Team #77 SST(HONDA、O・グティエレス選手、J・トレス選手、G・ジャンニーニ選手)がつける。不運なアクシデントに見舞われた#25 Team Etoileは一旦8位に落ちてしまう。
13時44分にレースは再スタート。厳しい雨の中のレースが続いていく。#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Hondaと#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBがトップ争いを演じ、3位にWojcik Racing Team #77 SSTがつけている。
14時50分ころ、#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBは#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Hondaをとらえてトップに上がる。2位に後退した#41 Dafy-Kaedear-RAC41-Hondaのポンセ選手が78周目に最終コーナーで転倒し、ピット・イン。大きく遅れてしまう。
4時間が経過したレース中盤、#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBがトップを走行していく。雨は止んだが、ウェット・コンディションでの走行となっていく。
後方では、Wojcik Racing Team #77 SSTと、目下SSTクラス首位につける#38 Champion-Hert Powered by MRP(BMW、B・コバチ選手、J・ビューン選手、R・クレッソン選手)という耐久チームが2位争いを演じていく。#38 Champion-Hert Powered by MRPは予選35位から見事な追い上げ果たしていた。一方、#25 Team Etoileは4位に挽回するが、1周遅れとなっている。
レース:後半
厳しい状況の中、NCXX RACING with RIDERS CLUBはトップをキープ
残り3時間となった頃、#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBはトップをキープし、約1分の差をつける。後方では、Wojcik Racing Team #77 SST、#38 Champion-Hert Powered by MRPの2位争いに#25 Team Etoileが加わっていく。
残り1時間半、再び雨が振り出す中、トップの#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBと後続との差は約24秒にまで詰まってしまう。17時49分に伊達選手から長島選手に交代し、逃げ切りを図る。
後方では、#25 Team Etoileが2位に浮上。3位以下に、Wojcik Racing Team #77 SST、#38 Champion-Hert Powered by MRPが続く。
18時39分、長島選手が2位との差を約42秒に広げて、ピット・イン。アンカーの亀井選手に交代する。亀井選手は、雨が強まるなか最後のスティントへと向かう。
そして、あたりが暗くなっていく中で雨が強まり、18時55分に3度目のセーフティ・カーが入る。これでトップの#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBと2位#25 Team Etoileの差は一気に差がつまってしまう。3番手はWojcik Racing Team #77 SST、4番手は#38 Champion-Hert Powered by MRPがつける。
夕闇が迫る中で雨は降り続け、セーフティ・カーが入ったまま周回を続ける。結局、そのままレースが再スタートすることはなく、午後7時半にチェッカー。
#52 NCXX RACING with RIDERS CLUBはSSTクラス優勝(総合14位)を達成。長島選手は、鈴鹿8耐でEWCクラス、SSTクラスの両方で優勝した初のライダーとなった。
続いて、#25 Team Etoileが2位(総合15位)、Wojcik Racing Team #77 SSTが3位表彰台(総合16位)を獲得した。
また、#93 TONE Team4413 BMWはレース中盤に星野選手が2コーナーで転倒し、再びピット・イン。星野選手は負傷したため、この後は吉田選手が1人で走り続け、15位(総合45位)でチェッカーを受けた。
コメント
優勝 NCXX RACING with RIDERS CLUB
長島哲太選手
「僕らは年間を通して戦っているわけではないので、鈴鹿に集まって、車体を準備してという難しい状態でしたが、チームワークよく戦えたと思います。伊達選手、亀井選手は、いつもと違うバイクだったので大変な部分もあったと思いますが、自分に合わせてもらうところも多々ある中でしっかりと役割を果たしてくれました。出るからには恥ずかしいレースはできないと思っていたので、優勝という形で終われてよかったです」
亀井雄大選手
「タフなレースでした。余裕のある展開になるかなと思ったのですが、後ろからの追い上げもすごくて、最後まで気が抜けませんでした。それぞれが得意とするコンディションで走り、リードを守って優勝することができました」
伊達悠太選手
「普段は全日本のST600クラスで、600ccのバイクを乗っている中で、テストの時からずっと先輩2人の足を引っ張らないように頑張っていたつもりです。それが、結果としてきちんと残ったのでよかったです。先輩のお2人もそうですし、チームの方も優しく温かく見守ってくれて、自分が安心して走れる環境を作っていただけたので、本当に勝ったっていうことに対して、チームにも感謝していますし、本当に勝てて嬉しいです」
2位 Team Etoile
大久保光選手
「まずは悔しい気持ちでいっぱいというのが本音です。レース中に変なタイミングでセーフティ・カーが出てしまって、そこで2分ぐらい止まってしまったのが本当に残念でした。タイミング悪かったというか、これもレースなので仕方ないという風に思います。年間を戦っているチームとして、年間エントリーしているチームの中では1番多くポイントが取れたので、今年のワールドカップウィナーに向けて次のボルドール戦をがんばりたいです」
伊藤元治選手
「ウィーク2日目の雨の走行から、すごくアベレージも上がったと思う。2日目を終えた段階では表彰台に上がるのは難しかったと思います。耐久レースチームとしてポテンシャルをすごく示せたかなと思います。個人的には、今日のレイン・タイヤの走りは、ベルギーとフランスの経験が生きたと思います。この経験を生かして、ボルドールでは目標に向かってチーム一丸で頑張っていきたいです」
鳥羽海渡選手
「順位を落としてから、チーム一丸となって追い上げていきました。最後のスティントは、罰ゲームみたいでしたが、2位になれたのでよかったです」
3位 Wojcik Racing Team #77 SST
O・グティエレス選手
「水曜日の午前中、荷物が間に合わなくて、午後のウェットを少し走っただけでした。それでいきなりドライの予選になった。鈴鹿も初めて、コンディションも難しくて大変だった。そんな中でみんなですごくがんばったと思います」
J・トレス選手
「水曜日の途中から走って、タイヤの感触もつかんでない、セッティングもどうしていいのか分からない中で予選を走った。だから、こうやって表彰台に上がれたなんて、奇跡みたいなことです。コンディションが難しかったから、走りながら作戦を立てるしかなかった。そんな状況の中で表彰台に上がれたことはアメージングです。上位の2チームのライダーたちは、本当にいい走りをしていて勉強になりました。彼らにおめでとうと伝えたいです」
G・ジャンニーニ選手
「難しいレースでしたが、3位になれてよかったです。最後のスティントで1つ順位を落としてしまいましたが、表彰台に上がれてよかったです」
【EWCクラス】
ERC Endurance#6がトラブル後に追い上げる
予選の後で行われたナイト・プラクティスで、シュロッター選手は転倒し、膝を痛めると欠場を余儀なくされる。決勝へはフォレイ選手と、イエーニヒ選手の2人で出走することになった。
スタート直後、ERC Endurance#6はフォレイ選手が27位につけるが、クラッチケーブルの不具合によりシフトトラブルが発生してしまう。11時50分にピット・イン。マシンを修復して、再スタートするが42位と大きく後退してしまう。
12時5分にセーフティ・カーが入り、約30分後に再スタート。その後、13時5分にもセーフティ・カーが入る波乱の展開のなか、ERC Endurance#6は耐久チームらしい走りで少しずつ順位を上げ、中盤には29位にアップ。後半に向けて挽回を図っていった。
ERC Endurance#6は、フォレイ選手、イエーニヒ選手の2人のライダーで着実に挽回。6時間が経過したことには24位へと順位を上げる。
午後6時55分、雨が強まるとセーフティ・カーが入り、レースはそのまま終了。ERC Endurance#6は、難しいコンディションの中、22位にまで順位を上げてチェッカーを受けた。
コメント
22位 ERC Endurance#6
M・シュロッター選手
「今日はケガで走れなかったけれど、2人ががんばって走ってくれた。トラブルがあって大きく後退したけど、追い上げられたからよかったと思う」
K・フォレイ選手
「走り出してすぐにシフトがおかしくなって、うまく作動しなくなってしまった。それで大きく順位を落としてしまった。それでも、スタッフが直してくれて再スタートしてから追い上げて22位になったのは、よかったと思う」
J-O・イエーニヒ選手
「トラブルがあったり、天候が厳しかったり大変でした。なんとか追い上げられたことはよかったけど。コンディションが厳しくて、走るのは本当に大変でした。8耐は暑くて大変と聞いていたけど、今年は違ったね。来年もまた8耐にでたいです」