フライ・アウェー・シリーズと呼ばれるアジア・オセアニア3連戦の2戦目、オーストラリア・ラウンドを迎えた。
フィリップ・アイランドは、高低差のある高速コース。タイヤの消耗の激しいレイアウトということで、ダンロップはフロントにソフト1とミディアム2、リアにスペシャル・ハードS1&S2を用意した。
初日から、雨が降ったりやんだりの不安定な天候に苦しめられる。
天候悪化が心配されたが、予選はドライ・コンディションで行われた。
ポール・ポジションを獲得したのはM・パシーニ選手(KALEX)で今季5度目となった。
「いい感触といいリズムでポール・ポジションを獲得できた。明日のコンディションが分らないので、このサーキットでポール・ポジションを獲得することはとても大事です。レースに向けてすばらしい感触があり、セッティングもできている。明日は表彰台を狙いたい」とパシーニ選手。
続いてドイツ人のM・シュロッター選手(SUTER)が自己最高の2位、3位にM・オリヴィエーラ選手(KTM)と続く。首位のF・モルビデッリ選手(KALEX)は5位、ランキング2位のT・ルティ選手(KALEX)は10位。中上貴晶選手(KALEX)は7位3列目につける。
「午前中のフリー走行で転んだ影響はマシンもライダーにもないが、路面の感触や風向きなど、いろいろ変わってしまいタイムを上げられなかった。データを調べて明日に備えたい」と中上選手。
また、長島哲太選手(KALEX)は27位につける。
「コースの攻略に苦労してしまった。2、6コーナーの立ち上がりの悪さがタイム・ロスにつながった。天気が不安定ですが、ドライでレースしたいです」と長島選手。

決勝当日、朝のウォーム・アップはレイン・コンディションで行われた。その後、雨は降ったりやんだりという不安定な天候となる。
Moto2クラスは、ほぼドライ・コンディションでスタートを迎えた。
決勝レースはオリヴィエーラ選手のホール・ショットで始まる。後ろからB・ビンダー選手(KTM)、モルビデッリ選手、シュロッター選手、ルティ選手などが続く。2周目にパシーニ選手とシュロッター選手が転倒して戦列を離れる。
この後で、オリヴィエーラ選手、モルビデッリ選手、ビンダー選手が先頭グループとなり、4位のルティ選手以下は約1秒離れる。
レース中盤、オリヴィエーラ選手が少しずつ差を広げ、2秒近いリードを築く。ビンダー選手とモルビデッリ選手は2位争い。ルティ選手、中上選手、X・ヴィアージ選手(TECH 3)などが4位争いを繰り広げ、12周目に中上選手が4位に上がる。
16周目、ビンダー選手とモルビデッリ選手が接触して遅れをとり、中上選手はこの2台に接近。ヴィアージ選手も加わり、4台の2位争いとなる。20周目に、中上選手が2位に上がる。
レース終盤になると、オリヴィエーラ選手は6秒近いリードを奪って独走状態。後方では、中上選手、ビンダー選手、モルビデッリ選手が2位争いを続ける。
終盤、雨がぱらつく、微妙なコンディションとなる。
そして、残り2周というところで、中上選手は転倒してしまう。
トップのオリヴィエーラ選手は、そのまま快走を続けるとMoto2初優勝を達成。ビンダー選手が2位に入り、Red Bull KTM Ajoチームは1,2位フィニッシュを決めた。モルビデッリ選手が3位表彰台をつかんだ。
また、ルティ選手は朝のウォーム・アップで転倒。首に痛みをかかえながら決勝を走り、10位でゴールした。
この結果、点差は29となり、モルビデッリ選手はタイトルに王手をかけた。
一方、長島選手は18位で完走した。

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優勝 M・オリヴィエーラ選手(KTM)

「優勝できて本当にうれしい。雨が降り始めたときには少し苦戦した。すでにアドバンテージがあったが、後続のライダーたちとの差が詰まることが不安だった。最後は注意深く走っていった。人生で最も長いレースに感じた。このクラスでの最初の勝利で、KTMでも初めてです。今回の優勝が最後ではないことを願っています」

2位 B・ビンダー選手(KTM)

「今週は、コースに出て1周目からとてもいい感触だった。とにかくできる限り長く走った。レース序盤から集中していった。オリヴィエーラ選手と先頭を走ったが、彼のペースはとてもよくて、全くミスをしなかった。その後モルビデッリ選手や中上選手とのバトルが始まり、レースはとても厳しくなった。終盤も力強く走れた。2位を獲得できてとてもうれしいです。」

3位 F・モルビデッリ選手(KALEX)

「目標は表彰台と、ルティ選手より前でフィニッシュしてポイントを獲得するだった。この目標のためにビンダー選手との長いバトルでは一生懸命プッシュした。中上選手が僕の前で転倒したとき、今日は3位でポイントを獲得しようと決めた。ルティ選手のポジションは知らなかったが、彼が僕より後ろにいることは分かっていた。今回は目標を達成しました」

18位 長島哲太選手(KALEX)

「フリー走行、予選で苦戦したコーナーを今日も攻略できず、思うようにタイムもポジションも上げられなかった。結局、前のグループから離され、4台による18位争いになったので、とにかくグループ・トップでフィニッシュしようとがんばった。フィリップ・アイランドは、コーナーの進入でがんばりすぎてしまい、それが結果的にセット・アップを難しいものにしてしまった。この経験を来年はしっかり活かしたい」

リタイア 中上貴晶選手(KALEX)

「序盤は思うようにペースを上げられなかった。その後はフィーリングもよくなり、ペースもポジションも上げることができた。2番手に浮上したときにはトップを走るオリヴィエーラ選手との差は大きかったが、最後までがんばろうと思い、全力で追い上げていった。残り2周となった9コーナーで5速から3速にシフト・ダウンしたときにギア抜けしてしまい、そのために転んでしまった。なんて言っていいのか分からないという気分です。いい走りができていただけに残念でした」


MOTO2Result

順位 選手名 チーム メーカー タイム
1位 M.Oliveira Red Bull KTM Ajo KTM '39.25.920 Dunlop ユーザー
2位 B.Binder Red Bull KTM Ajo KTM '39.28.894 Dunlop ユーザー
3位 F.Morbidelli EG 0,0 Marc VDS KALEX '39.29.766 Dunlop ユーザー
18位 長島哲太 Teluru SAG Team KALEX '40.22.407 Dunlop ユーザー

MOTO2Point

順位 選手名 チーム メーカー ポイント
1位 F.Morbidelli EG 0,0 Marc VDS KALEX 272 Dunlop ユーザー
2位 T.Luthi CarXpert Interwetten KALEX 243 Dunlop ユーザー
3位 M.Oliveira Red Bull KTM Ajo KTM 191 Dunlop ユーザー

※第16戦終了時点