DUNLOP Racing Team with YAHAGI インサイドストーリー1


すべては本人が昨年の11月22日にXで発信した『I'm back to ALL JAPAN championship.』から始まった。

どのクラスへ? チームは? 投稿の最後に付け加えられた『 to be annaunced』にレース界は注目した。
年が明けた1月19日に、2024年Hondaモータースポーツ活動計画がホンダから発表された。しかしそこにも、長島選手の名はない。
そうして2月1日、【住友ゴム工業株式会社ニュースリリース】としてJSB1000クラスで「DUNLOP Racing Team with YAHAGI」をサポートすると発表された。


そもそもこのプロジェクトは、どれくらいの時期から立ち上がったものだっただろうか。

「去年の夏過ぎに初めて、そういうプロジェクトがあるという話を聞きました。ライダーとして自分に声を掛けてもらったのですが、HRCとの兼ね合いだったりいろんな部分があるので、そんなに簡単には決められることではありません。でも自分としてはこの話を最初に聞いたとき正直言って『めちゃくちゃ面白そうだな』と思いました。Team HRCのライダーとして2022年、2023年の鈴鹿8耐に参戦はしましたが、ずっとスプリントレースにシーズンを通して出たいと思っていたのです。それはワールドスーパーバイクだったり、MotoGPですね。ただ、現実的にMotoGPは自分の年齢などいろんな要素を考えると、レギュラーで走るのは難しい。でも、ワールドスーパーバイクならスポットで出てもそこそこ戦えていたので、フルシーズン戦いたいという希望を持っていました。でもそれも現実として、なかなか叶わない。そうした状況下、全日本への参戦ということでいくつか話をいただいた中でいちばん面白そうだと感じたのが、このプロジェクトでした」


『モノ造り』は非常に面白いものであるが、開発を実戦参加という形で行うとなると、使用するイクイップメントの性能次第ではレース結果に対して手縛足枷となる可能性がある。

「自分は今年で32歳になります。自分自身の限界を引き上げながら戦うレースは、あと3、4年だと考えています。周りの状況を見ながら駆け引きして戦うレースはその後も可能かもしれませんが、本気で自分が成長することに費やせる時間っていうのはフィジカル面を考えても、恐らくあと3、4年。だから最初にこのプロジェクトを聞いたとき、これは自分にしか出来ないことなのかなと思いました。全日本ロードレース選手権JSB1000クラスにおいて、2005年から昨年まで14年連続でブリヂストンユーザーがチャンピオンを獲得しています。多くのライダー、レース関係者が、『ダンロップタイヤで結果を出すのは難しい』と思うでしょう。でも2000年代前半まで、世界のロードレース界でダンロップタイヤが強かった時代もありました。そうした状況下で、伊藤真一さんとコハラレーシングの小原 斉さんの二人が中心になってブリヂストンタイヤの開発を行い、結果を出し、それが現在まで続いている。お二人の偉業に、心からリスペクトします。それを今度は藤沢さんと自分がダンロップタイヤでできたら、その先に名前がきっと残りますよね。自分の手掛ける仕事がダンロップタイヤにとっても大きなターニングポイントになったとして、それが歴史として残ってくれたら嬉しい。そういう想いで、このオファーを受けました」


初乗りは、2月末に鈴鹿で行われた全日本事前テスト。

「CBR1000RR-Rが新型になっての初走行でもあるので、車両のシェイクダウンからスタートしました。特に新型は電気などが変わっているので、そのあたりの確認をしながらの走行となりました。もちろんそのときがJSB1000用ダンロップタイヤの初乗りでもありましたが、フィーリングは悪くありませんでした。二日間の事前テストは、車両のシェイクダウンをしながらも2'07.431。トップから1秒3差でした。そして開幕戦のレースウイークでは、2'05.626まで出ました。レベルの低いタイヤでは、とてもこのタイムは出ません。だからと言って、まだプロジェクトは始まったばかりですから、開発用の特別なタイヤはまだありません。実際にタイムを出したときのタイヤは、アジア選手権に使用予定のものでした」


プロジェクトの中心となるチームは、長島選手にとって古巣となる7C。

「核となって動いているのがチーフエンジニアの藤沢(裕一)さん。そこに藤沢さんの名前があったからオファーを受けた、というのも大きいですね。これが、知らないチームがやりますとか、ダンロップが新しく人を集めてやりますということであれば受けていませんでした」


シェイクダウンの1週間後に開幕戦のレースウイーク。予選がキャンセルとなり、金曜日のART走行で出したタイムで、決勝はポールポジションスタートとなった。

「たしかにそうなのですが今の状況は、タイヤの性能ももちろんですが、車体側の助けも大きいと感じています。短時間に車体側の開発をチーム側がかなりしてくれているので、その部分が大きく効いています。さらにタイヤの開発も進め、なるべく早いタイミングで表彰台に上がりたいし、優勝もしたい。どんな物でも、良いところとそうではない部分がある。ライダーは、その良いところをどう引き出して行くのかが大きな仕事だと思います。ここまでの流れも、それを自分がしてきているだけ。プロジェクトはまだ始まったばかりですが、元々ダンロップが持っている良さの一面は開幕戦で見てもらえたと思いますし、さらにどう良くしていくかが今後の課題です」


全日本ロードレース選手権鈴鹿2&4レースレポートURL
https://dunlop-motorcycletyres.com/alljapan_road_2024/r1/