タイヤの役割と構造
タイヤの役割から構造が決まる
代表的なタイヤの役割
- 車体やライダーの重さを支える
- 凸凹等路面の衝撃を和らげ、走行をスムーズにする
- 駆動力・制動力を路面に伝え、発進、加速、制動を行う
- 車体の方向転換や維持等、進みたい方向へ車体を導く
車体を構成する他の部品と異なり、1つで多くの役割を果たしているのがタイヤの特徴です。
タイヤの構造
多くの役割を果たすために、タイヤはいくつものパーツで構成されています。
- カーカス
- タイヤの骨格となる部分。内部の 空気圧を保持し、タイヤが受ける荷重・衝撃に耐えます。
- トレッド
- 直接路面に接する部分。厚いゴム層で 内部のカーカスを保護しています。摩耗に耐え、スリップを防止する等のため、様々なパターンが刻まれています。
- サイドウォ ール
- 走行時もっとも大きくたわむ部分。内部のカーカスを保護し、屈伸運動がスムーズに行えるように設計されています。
- ビード
- タイヤをリムにしっかりと固定する部分。リムとの摩擦損傷を防ぐためチェーファー(補強コード層)、ゴム層などで補強されています。
- ビードワイヤー
- 強力なピアノ線を幾重にも束ねて、空気圧によるカーカスコードの引っ張り力を受け止めます。
- べルト / ブレーカー
- 剛性を高める為に、トレッドとカーカスの間に入れる補強コード層、ラジアルにはベルトが、バイアスにはブレーカーが使われます。
- インナーライナー
- チューブレスタイヤではチューブの替わりとなる部分。内側の空気を包む役割をします。
バイアス構造とラジアル構造
現在は大きく分けてバイアスとラジアルの2タイプが製造されています。 バイアスタイヤは、カーカス及びブレーカーのコードを中心線に対し30〜40度の角度(バイアス)で交互に貼り合わせています。このコード角によってタイヤの形・剛性が決まります。ラジアル構造に比べて、設計自由度は小さいですが、路面のギャップをタイヤ全体で吸収しますから、ラジアルよりも乗り心地が良いのが特長でアメリカンやスクーター等、快適性を求められるバイクに装着されています。 ラジアルタイヤは高速耐久性に優れた構造で、ほとんどのオンロードスポーツバイクに装着されています。カーカスのコードはタイヤ側面から見て放射線状(ラジアル)に並んでおり、中心線に対し0度〜20度のベルトによって締めつけられています。剛性はベルトだけで決定できますので、トレッドとサイドウォール の剛性を別々にコントロールすることが可能です。そのため、バイアスよりも柔らかいグリップ力のあるゴムを採用できるなど、設計の自由度が高い構造です。
ダンロップのJLB(ジェイ・エル・ビー)構造
2輪車の更なる高速化という、時代が要求した構造がダンロップのJLBです。大排気量スポーツバイクのリアタイヤとして、高速時のグリップ性能と操縦安定性を向上させています。タイヤの周方向にコードを巻き付けたペルトで締めつけているため、遠心力方向の剛性が高く、高速耐久性・安全性が向上しています。また、トレッド部が柔軟になるため接地面積が増大し、安定したグリップ力を発揮します。ラジアルの弱点とされていたギャップ吸収性もアップし、タイヤの軽量化にも寄与しています。