ヘレス【スペイン】

JEREZ

[図面]ヘレス
全長距離 4,423
最大直線長 600
走行路幅 11
ユーラシア大陸の南西の端に位置するこのサーキットは、もう少し足を伸ばせばアフリカという所に位置する、コンチネンタルサーカスでも一番移動量の多くなるサーキット。チームスタッフは延々とチームのトラックを走らせ、たとえばイタリアからだと丸3日走り通しでやっとヘレスに到着する。ヘレス産のシェリー酒は世界的にも有名で、アンダルシア地方名物のハモン・セラーノ(生ハム)も実にうまい!!
皆さんの中でこのサーキットは低速コースというイメージを持っている方が多いと思うが、実は125、250クラスにとってはどちらかというと高速の部類に入るサーキット。比較的回りこんでいない中高速のコーナーを短いストレートで結んでいるレイアウトで、連続するS字コーナーがない。特に小排気量のクラスほどアクセルを全開にしている区間が長く、125のトップライダーたちはなんとコースの60%以上の区間がアクセル全開だ。とはいってもさすがにMotoGPクラスとなると直線区間が短いこともあって全開時間は少なくなるのだが。クラスによるラップタイムの違いも比較的少ない。タイヤ的にはフロントタイヤへの負担が多く、リヤよりフロントが厳しくなりがちかな。タイムアップのポイントは裏ストレート終わりのヘアピンコーナーから先のコースの後半部分。特にピット裏の2つにつながる高速コーナーが重要。で、やはり最終的な勝負ポイントは各ライダー最終コーナーの突っ込みにおいてくるはず。最終ラップの最終コーナーに注目!!
かつては全てのクラスにおいてウィンターテストの中心的なサーキットだったが、セパンができてからはMotoGPクラスのテストの舞台はそちらに移ってしまった。しかし、ヨーロッパのプライベート系チームの多い250、125クラスは、やはりこのサーキットがテストの中心となるので、開幕戦ではテスト情報と予選、決勝の結果を照らし合わせて今シーズンを占ってみるのも面白いかもしれないね。
そして、ここは毎年20万人以上が観戦に訪れる、グランプリの中でも最も応援の盛り上がるサーキットのひとつだ。中でも有名なのが爆竹を使った応援。爆竹とはいってもちょっとしたダイナマイトのようなもので、その音といったら迫力満点で否が応でも応援が盛り上がる。その応援でライダーたちも俄然やる気になって、毎年好レースが展開されるのだ!!
ちなみに僕が表彰台に上った時に、トロフィーのプレゼンテーターがなんとスペインのファン カルロス国王で、大変光栄だったのを覚えている。
解説:上田 昇